『グリーンフィンガーズ』 刑務所生まれの花たち
今日は仕事でまたミスをして、勤務明けに映画を観ようと思っていたのにその気も失せてしまいすごく落ち込んだ気持ちで帰ってきました。でも帰宅して庭を覗いてみると、昨日植えたばかりの苗に花がふたつついていてちょっとだけ気持ちが上向き加減に。花の効能ですねえ・・・。
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グリーンフィンガーズ 販売元:メディアファクトリー |
弟殺しの罪で15年間刑務所暮らしをしているコリンは、模範囚ということで数少ないユニークな開かれた刑務所として有名なエッジフィールド刑務所に移送されることになる。しかし、両親から見放され罪の意識を抱えてずっとひとりで生きてきたコリンは、新しい刑務所での生活にも他の囚人たちにも馴染もうとしない。
クリスマスの夜、同室のファーガスはそんなコリンにプレゼントを渡す。それはニオイスミレの種だった。仕方なく、暗い夜空の下で適当に選んだ場所に適当に穴を掘り種を蒔くコリン。
しかし春が来て、忘れられていたスミレは花を咲かせる。それを見たコリンの中でも何かが芽生えはじめたのだった・・・。
以下ネタばれ。
この作品は実話を元にしてあるそうです(もちろん脚色はしてあるだろうけど)。『ブラス!』から『キンキーブーツ』までの流れを汲む、イギリスのお家芸(?)ど真ん中の映画。
主人公が犯罪者(それも重罪犯)なので素直に共感する気にはなれないという方もいらっしゃるでしょうが、‘植物に接することで生まれ変わる人々の物語’として観たならこれはかなり説得力があると思うんです。
コワモテだけどすんごくにこやかな男たちでございます。楽しそう~。
この前ポピーが初めて咲いたときに記事を書きましたが、あのときはほんとに興奮しちゃいました。自然界の神秘を垣間見たとでもいいましょうか。
何の気なしにパラパラッと蒔いて何も世話をしなかった(その上すっかり忘れてた)スミレが人知れず芽を出し花を咲かせているのをみてコリンは衝撃を受けていたけど、その気持ちすごーくよくわかる。ちょっとカルチャーショックでしたもんわたしにも。
『ぱすてると~ん通信』という漫画にこんなせりふがあります。
‘植物って水やったりするとそのぶんきちんとのびてくるんだ
葉っぱ出したり実つけたり花咲かせたり
してもらった分だけきちんとのびる
だれが世話しても ― ぼくみたいな子供がしても’
これはまさにこの頃のわたしが感じていることなんです。ポピーはほんとに毎日伸びて蕾もどんどん大きくなっているし、デイジーは日が照りだすとすぼめていた花を大きく開かせるし。水をやってただ観察してるのがなんだか申し訳ない。頑張ってる彼らの成長を見逃したくないので(子供持ったらこんな気持ちになるのだろうか?)、出勤前と帰宅した時には必ず庭を見回るくせがついちゃったくらいです。
そして映画の中でも、エリザベス女王のこんな言葉が紹介されていました。
‘植物は人を選ばない’
ほんとにそうなんだよなあ。よっぽど悪い条件の下でないかぎりは、必ず応えてくれるんです。子供でもお年寄りでも、元気な人でも落ち込んでる人でも、必ず。そして囚人でも、それは同じこと。
ガーデニング界のリーダー? ミセス ウッドハウスは派手な帽子がお好きなご様子。
この物語の主人公・コリンは、自分が知らなかっただけで実は‘green fingers’の持ち主でした。green fingers というのは 、辞書によると‘植物を育てる才能’。全く興味がなかったガーデニングの世界に足を踏み入れ植物と共に生活するうちに、彼はみるみる頭角を現します。そして、それまで死んだように(‘誰かが自分を殺してくれないかと思いながら’)生きてきたコリンの人生と考え方も、大きく変わる。やるべき仕事と愛する人、仲間に出会うのです。
コリンが言うには、植物と接していると、怒りや憎しみといった感情が消えていく。
そう、そうなんだよ~コリン。花を前にすると、きっと人は誰でも穏やかになれるんだ。
フン!仲良く庭の手入れかよ!フンだフンだ!と言いつつ、うらやましいのだった。
コリンたちエッジフィールド刑務所の庭師集団はハンプトンコートのフラワーショーに出品するチャンスを得ますが、そこは映画なのでいろいろ山あり谷ありですんなりとは行きません。でも最終的には自分たちの思い描いた通りの庭を作り出し、なんと女王に謁見を許されることになるという。女王のところへずんずん向かう彼らの足取りの、誇らしそうなことよ。
それからも、彼らの後を引き継いだ囚人たちの庭師チームは全国各地のフラワーショーに出品し、最高賞を獲得したりもしたそうです。ううむ、ほんとに映画みたいですね。
筋としてはちょっと大味というか、コリンが才能を開花させていく過程をもう少し丁寧に描いてほしかったなあという気もするんだけど、とても好きな映画でした。
フラワーショーへの出品が決まったあと、刑務所の中のジムで体を鍛えながら「どんな庭園にする?」とみんなで案を出し合う彼らの、少年のようにキラキラした表情。コリンを愛し受け入れてくれた女性の名前が‘primrose’(サクラソウ)なのも可愛いし、何より彼らの庭園がまたステキでした(映画が公開された当初に観たときはあまりそうも思わなかったんだけど。歳とって感じ方が変わったんだろうな)。
‘見逃しがちな美’というテーマの、一見雑草が生い茂っているだけに見えるその庭。確かA.リー監督がどこかで「西洋のガーデニングは自然を思い通りにデザインしようとしているけど、東洋の庭はそうではない」とかいうことをおっしゃっていましたが、そういう見方でいくとこのコリンたちの庭はとても東洋的なのかも。草ぼうぼう加減がうちの庭に似てるのもポイント高いし(なんじゃそれ)、しかもじょうろで水をやっているファーガスがお出迎えしてくれるんだもんね。
この映画を初めて観たときもハンプトンコートのフラワーショー(←これは02年の模様)に行ってみたいなあと思ったんですが、園芸をちょこっと、ほんのちょこーっとかじりだした今、また行ってみたいという思いがふつふつ湧きあがってきております。しかしすぐには無理なので、もうちょっとしたら地元の海浜公園に行く予定です。ミニ庭園がたくさんつくってあるらしいので。楽しみだなあ。
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