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2007年4月15日 (日)

『パリ、ジュテーム』  贅沢さここに極まれリ

フランス映画を最近観ていない・・・。一番最後に観たフランス映画ってなんだったけ?と首を傾げなければならないほど観てないのです。
でも考えてみると、わたしはどちらかというとフランス映画は苦手なほう。観ている本数も元々そんなに多くありません。おしゃれさんに対するコンプレックスがあるから、‘フランス映画=おしゃれ’という意識の強いわたしは「どうせ観てもわかんないだろう」と思ってしまう。ほんとはゴダールとかトリュフォーとか、すごく憧れるんですけど。
なんだかんだ言ってやっぱりアメリカの映画をたくさん観てる自分に納得のいかないものを感じつつ久しぶりに観たフランス映画は、しかし大満足の作品でした♪

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『パリ、ジュテーム』 (2006 仏・独・リヒテンシュタイン・スイス)

リヒテンシュタインって、どこなんだろ?『ロック ユー!』ではヒース演じるウィリアムの偽りの名前が‘サー・ウルリック・フォン・リキテンシュタイン’でしたけど、ここの出身という設定だったのでしょうかね?
と、それは置いといて。
いろいろな国の監督・俳優陣が、パリにいるさまざまな人々の生活・出会いや別れを描いたオムニバス映画です。だから純粋には‘フランス映画’とは言えないのかもしれませんが。

こういう映画の注目点のひとつはやはり豪華な監督・キャストだと思うんだけど、こんなにすごい人たちがよくまあ集まったもんだなあと感心。18ある物語のほとんどが当たりだったのも驚きだし、短い話がこんなにたくさんなのに全くせこせこしていないのもすごい。むしろゆったりとした気分で、いつまでも観ていたくなっちゃう。
5分間という制約なので、ほんの数時間の出来事だったり長い期間の話も短縮してあったりなのですが、それがかえって効果的というか。どれも「ああ~、もうちょっと先まで見せてほしいなあ~~~」というところで終わっているんです。

Parisjetaime_70412_2_1  この話や、

Parisjetaime_70412_3_1 この話も。どうなったんだろ?気になる。

パリを舞台にしたオムニバス映画といえば『パリところどころ』だけど、大昔にビデオで一度観たきりなのでほとんど覚えてません(←ダメダメ)。なんかわたしにはやはりちょっと難しかったような・・・?それに比べて、地元出身の監督に加えて他の国の人たちがその目線で撮った作品も入っているこの『パリ、ジュテーム』の方は、率直に言ってとてもとっつきやすかったのでした。「わー、これならわかるよ!」という感じ(レベル低い・・・)。
それにしても愛に溢れた幸せな映画体験!レディースデイの1000円でとびきりの贅沢ができました。すごく得した気分。

以下は、フランス映画にたくさんチャレンジしてみたいなあという気にさせてくれた18のお話の、ちょっとした感想です。

Parisjetaime_70412_6 さすがの貫禄のおふたりでした。

1.モンマルトル
孤独な男が光を見つけるお話。でもコメディ。人生の理不尽についてずーっとひとりごとの文句をたれながらも実は小さな幸せを求めている主人公に、親近感が沸きます。がんばってね。

2.セーヌ河岸
パリジャンとアラブ系の女性の間に芽生えたささやかな、でもれっきとした恋。これも主人公の男の子にエールを送りたくなる。恋する男の底力を見せてくれー!

3.マレ地区
言葉の意味は伝わっていなくてもお互いに何かを感じたのは確かなこと。走り出した青年は、果たして目指す相手に出会えたのだろうか?きゃ~、ギャスパー!

4.チュイルリー
パリの地下鉄でえらいトラブルに巻き込まれてしまった観光客の男。ひと言もせりふがないのに、ブシェーミのでっかい瞳はとても雄弁。それにしても災難だ・・・。でも笑っちゃう☆

5.16区から遠く離れて
華やかな都のもうひとつの現実。16区にいながら、16区からいちばんかけ離れた存在の彼女。でもその小さな歌声に、貧しい移民の赤ん坊もブルジョア家庭の赤ん坊も安心感をもらうのです。

6.ショワジー門
フランス人シャンプーセールスマンが、チャイナタウンの美容室で大活躍。なんだかよくわかんなかったけど、カラフルでにぎやかなお話でした。ちょっとハードボイルドなミスター・アイニー。

Parisjetaime_70412_5 彼のフランス語はお粗末らしいです。

7.バスティーユ
妻を捨てて若い愛人の下に走ろうとしていた男が、あることがきっかけでもういちど妻に恋をする話。うーんフランス(でも監督さんはスペインの方で、出演者も全員フランスの俳優さんではないんですけど)。妻のお気に入りの歌、赤いコート。彼がもう恋をすることは、ないのかな・・・。

8.ヴィクトワール広場
幻のカウボーイに導かれて、亡くした幼い息子に再会する母親。やはり‘会いたいと思えば、いつでもどこでも会える’のです。デフォーのカウボーイ姿を目に焼き付けろ!なんちゃって。

9.エッフェル塔
パントマイム芸人とその妻の風変わりな馴れ初めの話。存在しないバスも、彼らには見える。でっかいランドセルをかるって駆け出す男の子の笑顔がとてもいい。

10.モンソー公園
歳の離れた男女が歩きながら繰り広げる痴話喧嘩と思いきや、実は・・・。ニック・ノルティとリュディヴィーヌ・サニエ(←大好き)とは、なんと濃い組み合わせ。でも微笑ましいお話でした。

11.デ・ザンファン・ルージュ地区
パリに映画の撮影に来たアメリカ人女優とドラッグの売人の間に生まれた恋? マギー・ジレンホール、フランス語上手なんですねえ。彼女の独特の柔らかい雰囲気、やはり好きです。

12.お祭り広場
医学生の女性と、彼女に手当てされている負傷した男性。実は2人が出会うのはこれで二度目で・・・、というお話。彼はきっとあのコーヒーを飲めたはずだと、わたしは思います。

Parisjetaime_70412_4 粋な組み合わせ、粋な会話。

13.ピガール
歓楽街で出会った男と女。ある覗き部屋の中で、ふたりに何かが起ころうとしていた・・・。ファニー・アルダンかっこいい~。洒落た雰囲気の、大人のお話でした。

14.マドレーヌ界隈
バックパッカーの青年が夜に街中で出会ったのは、美しい吸血鬼。彼女に恋した彼は、自ら進んで血を吸われようとするが・・・。サイレントのモンスター映画のような、日本の昔話『雪女』のような。イライジャが頑張ってるのをみると嬉しい♪

15.ペール・ラシェーズ墓地
結婚前の一足早い新婚旅行でパリを訪れたイギリス人カップルに、破局の危機が訪れる。いったい彼らはどうやってそれを乗り越えたのか? オスカー・ワイルドは男女の喧嘩の仲裁もできるんだ!仲人に向いてます。皆さんいかがでしょう???

16.フォブール・サン・ドニ
恋人から突然別れを告げられた盲目の学生が、彼女とのそれまでを振り返る。いかにも映画的な、ロマンチックな出逢い。でも、並んで歩いていたつもりがいつの間にか・・・というのは現実の世界でもたくさん起こっている。手遅れにならずに済んでよかったね。

17.カルチェラタン
何年も別居してきて、やっと正式に離婚することになった初老のアメリカ人夫婦の物語。長い時間を共に過ごしてきたふたりのやりとりと、ひと言では言い表せない気持ち、相手に対する思い。いちばん好きなお話でした。

18.14区
教室に通ってフランス語をなんとか習得し、初めて憧れのパリに一人旅でやってきたアメリカ人中年女性。故郷から遠く離れた異国の地で彼女に訪れた、幸福な瞬間。そんな瞬間を迎えることが、わたしにもあるのかなあ・・・。

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コメント

かいろさん、こんにちは★フランス映画のお話なので。
私が今まで映画館で観たことあるフランス映画は、
 1.「望郷(ぺぺ ル モコ)」(1937)
 2.「禁じられた遊び」(1951)
 3.「死刑台のエレベーター」(1958)
 4.「さよなら子供たち」(1988)
 5.「まぼろし」(2002)
の5作品。私もフランス映画はあまり観てないです。でもこの5作品は、とてもとても良かったですよ。上3つは、往年の映画ファンには超がつくほど有名な作品ですし、4と5は、公開当時おすぎさんが絶賛していた映画です。特に1と2のラストは、映画史上に残る名シーンと言われています(私も同感)ので、観て知っておくとお得かも(?)。3は、なんだか不思議な、おっかないような滑稽なようなシュールなサスペンスでした。
1~3はすごく古い作品ですね。家庭用ビデオデッキが普及する前は、こういった「伝説的映画」が繰り返し上映される名画座的映画館があちこちにあったので、いい映画がうまい具合に次世代の映画ファンに伝承されてきたのだと思います。今は安いレンタルで便利になった分、かえって昔々の名作が忘れ去られてしまっているような気がします。かいろさんが「フランス映画にチャレンジしてみたいなぁ」と思ったら、上記の5つもどうぞ観てやってくださいませ★

投稿: メグ | 2007年4月19日 (木) 22時37分

メグさん、こんにちは!コメントありがとうございます!
おおー、メグさんおすすめのフランス映画。名作ぞろいですね。
うちには姉が買って置いていった、淀川さん選出の映画音楽CD全集があるんですが、メグさんが挙げてくださった作品は(間に合わなかった『まぼろし』以外)全部その中に収められておりますー♪
その全集の解説本をかなり熟読したのでそれだけでもう映画自体を観ている気になってしまってるんですが、それじゃあダメですね。ジャン・ギャバン!ジャンヌ・モロー!
手はじめに、いきなりハードル高いけど、『天井桟敷の人々』を観ようと思っています(と言いながら、昨日レンタルしたのは、前から手にとっては戻しを繰り返していた短めの作品なんですけど・・・。これから観ま~す)。
しかし昔の映画ファンの方々が羨ましいです。ビデオやDVDのおかげで昔の映画もたくさん観られる現在の状況はとても恵まれているとは思うのですが、やっぱり名作を安い料金で何度も何度も映画館で観るという贅沢さには適わないような気がします(フィルムの状態は悪かったのかもしれませんけど☆)。
それではこの辺で。ありがとうございました!

投稿: かいろ | 2007年4月22日 (日) 12時53分

かいろさん、こんにちは★こちらにおじゃましました。
4月28日に某家電量販店のDVDコーナーで、かいろさん超オススメの映画『トーチソング・トリロジー』のDVDをついにゲットできました!(しかも値段が1200円でした!)おかげで素敵なGWを過ごしております。
ありがとう!かいろさんに教えていただかなかったら一生知らないままだったと思う、こんなにすばらしい作品。
アランは、エドは、どうしてこんなにアーノルドのことを愛していたのでしょうね。そしてデヴィッドも、ママも。皆それぞれに微笑ましい愛。そしてちょっぴり哀しい愛。エドがそばにいてくれるのにアランのことが忘れられないアーノルドが「死人は愛しやすい。欠点がないから」と言うと(親子でさんざん罵り合った後なのに)、ママがアーノルドを励ますように言う台詞が愛にあふれていて本当にステキでした。1988年に既にこういう映画があったことに驚きましたが、元がトニー賞受賞のブロードウェイ・ミュージカルだと知って納得。最終章でのママとアーノルドの喧嘩シーンは「諍いの中にも愛情たっぷりの言葉の応酬(しかも名台詞ばかり!)」で胸がじ~んとしっぱなしでした。
  ホントにそうですね。
アーノルドが“4つの愛”を抱きしめるラストもとてもいい。写真の中のアランの美しい笑顔に涙涙涙でした。

先日、上記コメントで、往年の名作を上映する映画館がなくなったことを嘆きましたが、ちゃーんとここにありました!その名も【名画座バラライカ】!このような名画を紹介してくれたかいろさんに、ポケットからウサギさんのぬいぐるみを取り出してプレゼントしたいくらい、感謝しておりますー★

 *********

おまけ。フランス映画もうひとつ。「アメリ」も映画館で観てました。忘れてました。アメリの、チャーミングな悪戯が可愛かったです。ではでは。ありがとうございましたっ。

投稿: メグ | 2007年5月 2日 (水) 21時06分

メグさん、こんにちは!コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまいました、申し訳ありません(毎度のことなので謝っても真実味がないですね・・・)。
しかし、こちらの記事にいただいたコメントだったのでてっきり『パリ、ジュテーム』をご覧になった感想なのかと思っておりましたら、なんと『トーチソング』!しかもDVD、1200円!このDVDを店頭で販売しているなんて~。それにこんなお値段でだなんて~。いいなあ。メグさんの熱意が神様に伝わったのでしょうか♪ とにかく、おめでとうございます!(ってわたしが言うのもヘンなんですけど)

この作品、メグさんにも気に入っていただけたようでよかったです。アーノルドのファンになっちゃいませんでした???わたしは彼女のショウを観に行きたい!と真剣に思いましたよー。
メグさんの仰るとおり、最後のアーノルドとアランの幸せな写真を見ると我慢していたものが一気に溢れ出して嗚咽してしまいます。‘4つの愛’を抱きしめるに至るまでの構成も本当に見事だし、音楽がもう・・・(←思い出してウルウルしている)。
アーノルドもお母さんもアランもエドもデイビッドもマレーも、ついでにローレルもみんな好き。BBMと並んで、やはりたくさんの方に観ていただきたい映画だという考えは今もって変わらないのでした。
それではこの辺で。ありがとうございました!
P.S.
『アメリ』もちろんわたしも大好きで~す。映画館で3回観ました☆

投稿: かいろ | 2007年5月 7日 (月) 22時37分

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