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2007年4月28日 (土)

終わっちゃったあ・・・

毎回毎回くすっと笑ったり固唾を呑んだりハラハラしたり涙ぐんだり、ものすごく熱心に読んでいた新聞小説、松浦寿輝さんの『川の光』(挿絵:島津和子さん)がこの間最終回を迎えてしまいました。

新聞の小説を読むようになったのはこの4,5年のことなのですが、これまでのわたしは、朝刊の小説だけだったり夕刊の小説だけだったり(毎日どっちも読むということがなぜかできなかった・・・)、途中からは惰性で読んだり挫折というわけではないけれど何回も読み飛ばした後にまた舞い戻ったりで、決して真面目な読者ではありませんでした。
でも、この『川の光』だけは全く違った!こんなに夢中になって、もう続きが待ち遠しくてたまらん!なんて状態に自分が陥ることになるとは。予想もしませんでした。

物語は単純です。川のそばで暮らしていたねずみの親子三匹(お父さん、タータ、チッチ)が護岸工事のせいで住処を追われ、安住の地を求めて川の上流まで旅をする、という話。
まるで小学生向けの話じゃん、ほんとにこんな調子で最後まで続くんかいな?と、最初はそれくらいのスタンスで読んでいました。ところが、次々にふりかかる災難や、知恵を絞ったり全員で一致団結したりしてその災難を切り抜けるタータたち、タータたちの危機を救う現実の世界では考えられないような助っ人たちとその活躍にに魅せられて、‘毎週日曜日と祝日はお休み’という夕刊小説の宿命がいまいましくてたまらなくなるほどがんばって読むことになってしまったのでした。

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つつじ市の会場のそばを流れている、地元では有名な川。
タータたちいないかな~、いたらいいのにな~と思いながら眺めました。

しかも、その休みの前の回はほとんどが「えっっっ!つ、続きは、続きはどうなんの!!!」というところで終わっているという(後半は特にそうだった)。あー憎らしい!くーっ!!!これはきっと計算なんでしょうけどね。
それだけでなく、時々出てくるものすごく不穏なフラッシュフォワードが、もうダメなのです。作者の術中に見事にはまってしまって、ソワソワドキドキしながら読み進める羽目になってしまいます。これが新聞小説の醍醐味なのだろうか。それともちょっとマゾ入ってるのかも?いやん。

そして挿絵がこれまた素晴らしい。本当に可愛いんです、出てくる登場動物たちが。
島津和子さんはこういう絵を描かれる方らしいのですが(これじゃあ小さくてよくわからないかな)、わたしはこの物語に出会うまで存じ上げませんでした。素敵な、愛のある絵です。ここまでこのねずみたちの行く末を案じ無事を必死に祈るようになってしまったのは、島津さんの絵によるところも大きいと思います。
それと、今思えば、小学生の頃に読んだこの話にちょっと雰囲気が似ていたのかもしれない。だーいすきだったんですよね・・・。懐かしい。

Book 火よう日のごちそうはひきがえる

著者:ラッセル・E・エリクソン,佐藤 凉子,ローレンス・D・フィオリ
販売元:評論社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

そしてネットで検索してて見つけたんだけど、作者の方はこの物語を書くにあたって念頭においていたお話があったそうです。それがこれ。

ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉 Book ウォーターシップ・ダウンのウサギたち〈上〉

著者:リチャード アダムズ
販売元:評論社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

わたしは本は読んでませんが、小学生の時に体育館でこのアニメ映画を観ました。鑑賞後の給食時間の間じゅう、ずーっと興奮しっぱなしだったのをよく覚えています(それほど面白かったんだと思います。内容はうろ覚えだけど)。
なるほど、そうだったのか。どおりで。

連載最終回には、作者の松浦さんから読者へのお礼の文が載せられていました。
松浦さんも読者と同じような気持ちでタータたちの旅を見守るようになり、川のそばやごちゃごちゃした街の陰についついねずみを探してしまうそうです。かくいうわたしももちろん、なんやかやと折に触れてはねずみ一家の物語を思い出します。
そして、連載中にはたくさんの感想や励ましのお手紙が松浦さんのもとに届いたとのこと。それを聞いて、ああ~わたしも書けばよかったな~ととっても残念な気持ちになりました。しかし、今からでも遅くはない!本が出版されたらまたチャンスがある!
というわけで『川の光』松浦寿輝著、7月に中央公論社から発売だそうでーす☆(←さりげなく?宣伝)本屋さんで見つけたら、「ああこれかあ~」と思ってください。

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コメント

かいろさん こんにちは★可愛らしい新聞小説のお話ありがとうございます。
かいろさんちはY新聞なのですね。うちはA新聞なので、この愛らしい小説に出会うチャンスがありませんでしたが、『川の光』覚えておきますね。
ねずみのタータとチッチかぁ。主人公たちの名前からして“反則的な可愛らしさ”ですね、こりゃ。しかも話の展開として、休みの前の日のほとんどが「えっっっ!続きはどうなんの!!」とくれば、これはもう、朝の連続テレビ小説だったら「次回の視聴率は30%超確実!(←『おしん』並み!)」という感じだったのですね。毎日の新聞小説でそんなワクワク体験ができるなんていいなぁ~。「小説をワクワクしながら読む」って素敵な体験ですよね。
 
『恋って本を読むようなものだと思うの。おもしろい本だと読み終わるのが惜しくてゆっくり読んだりするでしょ?だから一生いっしょに暮らすなら、読んでも読んでも意外で、結末が読めない人がいいと思ったの』
 (↑)大和和紀さんの漫画『にしむく士(さむらい)』に出てくる台詞です☆

7月になったら、忘れずに本屋さんで探してみますね。できれば、かいろさんおすすめの、島津和子さんの「かわいい挿絵」も全部掲載希望(←無理かしら。中央公論社さん、どうぞお願いします)。ではでは、ありがとうございました!

(おまけ:こちらも気になります→『火よう日のごちそうはひきがえる』という本)

投稿: メグ | 2007年4月28日 (土) 17時30分

メグさん、こんにちは!コメントありがとうございます!
‘タータとチッチ’、可愛いでしょお???それに挿絵が加わると、もう紙面を撫でたくなってしまうほどなんです(というか実際に撫でてた)。‘愛らしい’というメグさんのお言葉ぴったりです。
しかし、それだけではないんですう。この親子ねずみ、全員一度以上死にかけるはめに陥ってますから。‘一難去ってまた一難’ってこういうことなのね、と彼らに教わりました・・・。彼らが危機を脱した回を読んで安堵のあまり涙したこともあります(入れ込みすぎ?)。

大人になっても‘小説をワクワクしながら’読めて(しかも並じゃないワクワク感で!)、きっと読者の皆さんは毎日楽しかっただろうなあと思います。
ちなみに母とわたしの間では、「読んだ~~~?」が合言葉になってました。ほのぼのした場面だと明るい調子で、緊迫した場面だと‘ヒ~~~ッ’感をにじませた調子で、「読んだ~~~?」と尋ねるんです。でももうそれもできないなあ。終わっちゃってガッカリ。彼らの冒険をいつまでも読んでいたかったです。

しかし一冊の本として読んだ時、同じように面白いと思えるのだろうか?と不安に感じてしまったりもします。ちょこっとずつしか読めない‘新聞小説’だから面白かった、ということはないのかなあ。挿絵も、ちゃんと掲載されるかも怪しいですもんね・・・。頼む、いい本にしてくれ中央公論社ー!
それではこの辺で。ありがとうございました!

投稿: かいろ | 2007年4月29日 (日) 21時35分

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読売新聞に連載されていた小説「川の光」(松浦寿輝)が 4月24日に完結しました。 (私の住んでる地域では読売新聞の夕刊が存在しないので 24日の朝刊に最終回が掲載されましたが、夕刊がある地域では 23日の夕刊に掲載されたようです。) 私は図書館を利用して、各新聞の連載小説を読んでいます。 朝・夕刊を足せばおおむね10本ほどの小説を少しづつ読んでいるわけですが、 少なくともここ数ヶ月において、「面白い!」という観点でいえば 約10本のうち、この「川の光」がダントツでした。 ..... [続きを読む]

受信: 2007年5月 1日 (火) 02時03分

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