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2006年10月

2006年10月30日 (月)

『遠い空の向こうに』  青空に 飛行機雲の 後を追う

配給さんが宣伝に力を入れない小さな作品は、お客さんがあまり入らないかわりにスタッフからの人気がとっても高い場合があります。この『遠い空の向こうに』は、その代表例でした。

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今アマゾンでは品切れだそうで・・・。

1957年10月、アメリカ。炭鉱の町であるコールウッドで生まれ育ったホーマーの人生は、ソ連の衛星スプートニクが夜空を横切って行くのを見たときに転機を迎えます。
石炭産業が徐々に衰退していく中でも、町で生きていくということ=炭鉱で働くことという考えが当たり前だった当時。炭鉱夫になる以外の道といえば、アメフトで活躍し奨学金をもらって大学に進むことぐらいしかありませんでした。
しかし、スプートニクの放つ小さな光は、この寂れたコールウッドの町も世界の一員なのだということ、そしてホーマーの未来にも全く別の可能性があるのだということを彼に教えます。ホーマーは決心するのです。「ロケットを作る。そして宇宙へ行く」
数学が大の苦手で、もちろんロケット作りに関してはズブの素人であるホーマーとその仲間たちの、手探りしながらの格闘の日々が始まりました。
失敗と挑戦を重ねるうちに、だんだん形になっていくロケットと彼らの夢。彼らの熱意に心を動かされ、少しずつ増えていく理解者たち。
そして、ホーマーたちの作ったロケットが空を飛ぶ日が、とうとうやって来ます。

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男の子4人組の映画といったら、『スタンド バイ ミー』か、これなのです。

以下ネタばれ(長くなりそうな予感・・・)。

こんなにひたすらまっすぐで気持ちの良い映画も最近珍しい!と公開当時思ったものでしたが、それは今観てもやっぱり変わりません。わたしってとことんストレートな物語が好きなのかも(←イコールものすごく単純ってこと?ヒャー)。

それまで飛行機やロケットが空を飛ぶなんて当然なんだと思っていたので、そのことについて特に疑問を持ったり感慨を覚えたりしたことはなかったけど、この映画であんなに小さいロケットがやっと・初めて飛ぶのを目撃した時は、わたしは感激のあまり泣いてしまいました。誰かが死んだりして流す悲しい涙ではなく(バイコフスキーさんの死はもちろん悲しかったけど)、嬉しくて胸がいっぱいになって流す涙の、なんと素敵なことか・・・。
最後のロケット打ち上げ場面を何度でも観たくて、隙を窺っては<映画終了前のドア開け>という名目でこの映画を上映している部屋によく忍び込んだもんでした(わたしが働いている映画館は、いわゆるシネコンなんです)。

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わわわわ若い!かかかか可愛い!(←あまりの可愛さに動揺中)

炭鉱の町の関心事と言えばやはり地面の下のこと。夫や息子や恋人や友人、大事な人たちがみんな危険な環境で働いているのだから、当然です。スプートニクはそんな彼らの目を夜空に向けることに成功はしましたが、それはほんの一瞬にしか過ぎませんでした。
しかし、他の人たちには‘通り過ぎたらそれでおしまい’ぐらいのイベントでしかなかったのに、ホーマーだけはその輝きに特別な意味を見つけてしまいます。そしてそれは決して一過性のものでも、現実逃避でもなかった。彼の情熱が、科学のかの字も知らないような悪ガキ仲間たちだけでなく町の人たちにも影響を与え、再び空を見上げさせるパワーを持つような強いものだったこと、彼がやがて少年の頃の目標どおり宇宙に関わる仕事に就けたことから見ても、やはりホーマーとロケットの出会いは運命であり必然であったのだと思います。
彼はそれまで当たり前に頭上にあった夜空に、あの瞬間恋をしてしまったのかも(クサーい、クサすぎるー!)。しかも、その恋心は色褪せることなくずっと続いていくものだったんだなあと思うと・・・、はっきり言って、すごく羨ましいです。一生に一度の相手に、ホーマーは出会ってしまったのね・・・。

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こんな素敵な先生が教えてくれたら、理系科目も好きになれるでしょうか?

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これまた素敵なお母さん。彼女が壁に描いた絵の全体を見たいです。

そしてそんなホーマーの前に立ちはだかる壁、お父さんのジョン。
しかしこの会社と組合の間で苦しむ中間管理職のお父さんは、ただの偏屈で頑固な横暴親父というわけではありません。
妻を心から愛し、継父に殴られていたホーマーの親友を助け、彼に「お前の父親はこれまでで最高の部下だった」と言葉をかける優しさも持っている(この言葉は、一生を炭鉱に捧げてきたジョンからするとこれ以上ない賛辞だと思うんです)。
それなのに夢見るホーマーに厳しいことしか言えないのは、彼がが進もうとしている方向が自分には全く未知の世界だったから。そしてもしかしたら、息子は父親と父親の仕事への反発からロケット作りに逃避しているんだと決め付けてしまっていたのかも。

でも、この対立する親子、実はすごく似ていると思います。
とてもみすぼらしいところに住んでいるのをホーマーに知られてしまったロケット仲間のクエンティンが、「みんなに僕の家のことを言う?」と不安そうに尋ねる場面がありますが、ホーマーは、いかにもジョンも言いそうなこんな言葉を返すのです。
「もしホワイトハウスに住んでたとしても、あいつらにとってはお前はやっぱりただの変人だよ」

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奥さんの「マートルビーチに行く」という言葉を聞いた後の笑顔が、すっごく好き。

そして、わたしの大好きな‘ミス・ライリー号’の場面。
やっと打ち上げに立ち会うことにした父親は、息子がいつのまにかこんなに立派に成長していたんだということを実感し、とても眩しそうな誇らしげな表情を浮かべて隣に立つ彼を見つめます。
どこまでも、高く高く上がっていく‘ミス・ライリー号’。ケープ・コールウッドで、町で、炭鉱で、病室で、それを見守る人々(またこの場面の音楽がいいんだ~)。
最後のセピア色の8ミリの映像の中でロケットが飛行機雲を残して空に消えて行くころにはいつも、なんて直球なんだ!と思いつつわたしの目は大洪水でそれはもう大変なことになってしまっているのでした。

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最後に余談ですが。
この『遠い空の向こうに』をはじめ、『リトルダンサー』や今上映されている『フラガール』も、親は最初は子供の夢を理解できなくて軌道修正しようとするけれど、最終的にはそれまでの自分の信念を曲げて(周りから裏切り者呼ばわりされながらも)応援するようになります。でもそれは、バレエやフラダンスやロケットについて学び考え方を変えたからというわけではなく、大事な息子や娘がこんなに望むことなら叶えてあげたいという心から来る行動なんですよね。
頑張りぬいて夢を叶える子供の姿ももちろんですが、こういう親の子供への底なしの愛情(おかしな言い方だけど)にわたしはすごく心を動かされます。子供を持ったらこんな風に考えるようになるものなのかなあ。

しかしぎりぎり10月中に間に合ってよかった~。
『遠い空の向こうに』『Roket Boys』『October Sky』、どのタイトルも大好きなわたしでござりまする。

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2006年10月22日 (日)

いい男バトン(というより、妄想バトン?)

皆さま、覚えていらっしゃいますでしょうか?“いい男バトン”でございます。なんとかして質問をひねり出そうといろいろ考えてきましたが、第一走者というのはやっぱり難しいです~。いまいちなものしかできませんでした・・・。こんなんでよかったかしら???(←かなり不安)

と、うだうだ言いつつも・・・はいスタート!

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【1】いい男に絶対必要だと思われる条件は?

声が素敵なことと、話し方が素敵なこと。
話し方が気取りすぎだったり頭悪そうだったりした場合、
かなりマイナスになります。

【2】いい男に似合うしぐさ、持たせたい小道具はありますか?

背中を向けてるけど横顔がちょっと見えているような体勢(これで伝わる???)
あと、個人的に好きではないのだけどやっぱり煙草は欠かせないかも。

Casanova_1022_1_4 まさにこんな感じ・・・。ああ触りたい・・・。

【3】男性の体の部分で好きなところはどこですか?

絶対背中!!!

【4】ごく普通の人がいい男に見える瞬間はありますか?
   それはどんなときですか?

建物に入るとき、先に入っていった見ず知らずの人が
わたしの為にドアを開けて待っていてくれるとすごく感激します。
(男の人に限ったことではないけど。)
少し前にこういうことがあったのですが、ちょっと惚れそうになりました・・・。

【5】いい男だと思う人を好きなだけ挙げてください。

Jake_0514_4_1 やっぱりまずジェイクくんでしょう。

それと、

Thomas_0713_1_2 T.クレッチマン

と、おなじみの

Tony_1022_1 トニーです。

それから奥田民生に、山崎努に、
・・・もうきりがないし多すぎて全部思いつかないのであとはパス!

【6】上に挙げたいい男にハマッて‘こんなことをした’
   ‘自分はこんな風に変わった’というエピソードがあれば
   教えてください。

トニーの映画を観て広東語をよく耳にするようになったせいか、
たまに街中ですれ違う中国人観光客が広東語を話しているのを聞くと
すごく懐かしく感じるようになりました。

【7】もっと知名度が高くてもいいはず!といういい男がいたら教えてください。

ダントツで、
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W.フィクトナーです。大作映画にけっこう出ているのにあまり知られていない!
こんなにかっこいいのに!声も話し方もすんごくステキなのに!

【8】フィクションの人物に恋をしたことはありますか?
   その経験がある方は、誰に恋をしましたか?

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『ターミネーター』でM.ビーンが演じたカイル。
「君に逢うために時を越えて来た」というせりふで号泣しました。
『ターミネーター』で、ですよ!自分でも変だと思います・・・。

あとは、『ロードオブザリング』のボロミア・ファラミア兄弟、
『はいからさんが通る』の編集長、『ときめきトゥナイト』のダークカルロ、
『ガラスの仮面』の真澄さん、『カリオストロ』のルパン、
『タイガー&ドラゴン』の小虎、『円紫師匠とわたし』シリーズの円紫師匠、
とかでしょうか?
これも多すぎて全部は思い出せません。
しかしやっぱりちょこっとマニアックでございます。

【9】いい男とふたりきりになれます。
   誰と、どんなシチュエイションがよいですか?

『流されて』のようにジェイクくんと無人島でふたりきり、なんてのがいいです。
魚や果物をとってきてもらって食事したり(ほとんど料理できないけど)、
一緒に泳いだり(ほとんど泳げないけど)、
夜になったら焚き火を挟んでじっと見つめあったりするんだ~。
でも期間限定でお願いします(←ワガママ)。

【10】自分のまわりの人を全部いい男でかためられます。
    誰をどんな立場の人に選びますか?

すっごく迷うけど、
恋人→ジェイクくん
だんなさん→民生っち
愛人(・・・)→トニー、D.クレイグ
お父さん→山崎努、石橋蓮司(どちらかが義理のお父さんってことで)
弟→柏原収史、瑛太、H.レジャー
お兄ちゃん→香川照之、遠藤憲一、田辺誠一、E.ノートン
おじさん→S.ビーン、一徳さん、原田芳雄、P.ニューマン、M.ケイン、
       R.レッドフォード、C.ファース、佐藤浩市、真田広之、
       A.リックマン、C.クーパー、G.バーン
おじいちゃん→I.マッケラン、A.ソンギ
友達→大倉孝ニ、国分太一、H.グラント、阿部サダヲ、P.S.ホフマン
旅先で出会ったわたしを誘惑してくる人(なんじゃそれ)
   →W.フィクトナー、T.クレッチマン、V.モーテンセン、オダギリジョー
         R.エヴェレット、C.チェン、J.デップ、S.ロックウェル、P.ベタニー

    ・・・・・・もういいかげんこの辺でやめておこう・・・・・・

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

さて、いかがでしたでしょうか?なんだかマニアックなのにオーソドックスというヘンテコな結果に終わってしまいましたー。どうしてだろう???

どなたかこのバトンを受け取ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひお願いいたします~。ではこの辺で。

コピーにどうぞ↓

【1】いい男に絶対必要だと思われる条件は?

【2】いい男に似合うしぐさ、持たせたい小道具はありますか?

【3】男性の体の部分で好きなところはどこですか?

【4】ごく普通の人がいい男に見える瞬間はありますか?
   それはどんなときですか?

【5】いい男だと思う人を好きなだけ挙げてください。

【6】上に挙げたいい男にハマッて‘こんなことをした’
   ‘自分はこんな風に変わった’ というエピソードがあれば
      
教えてください。

【7】もっと知名度が高くてもいいはず!といういい男がいたら教えてください。

【8】フィクションの人物に恋をしたことはありますか?
   その経験がある方は、誰に恋をしましたか?

【9】いい男とふたりきりになれます。
   誰と、どんなシチュエイションがよいですか?

【10】自分のまわりの人を全部いい男でかためられます。
   
誰をどんな立場の人に選びますか?

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2006年10月21日 (土)

『ルパン三世 カリオストロの城』  ひょっとして、わたしのルーツ?

‘レンタルビデオ・かいろ’で、【る】の作品として見事選ばれた(や、選んだのはわたしなんですけど)『カリオストロ』。『トトロ』と同じく、もう録画しているにも関わらず金曜ロードショーで放送される日にはなんだかウキウキ・ソワソワしちゃうんですよねえ、なんでだろ。

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しかし生粋の?ルパンファンからすると、『カリオストロ』のルパンはルパンじゃない!そうで(わたしのまわりにもそう言っている人が何人かいる)。優しすぎるとか、エッチさ加減やニヒルさが足りないとかなんとか。そっかな?そっかなあ??うーんそうかも。
でもでも、わたしには難しいことはわかんないや。好きなものは好きなんだい!

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これをガチャガチャで取るためにかなりつぎ込んで、でもどうしても取れなくて、結局持ってた人に頼み込んで譲ってもらったぐらい好きなんだーい!うおー!
ではあらすじ。

モナコの国営カジノから大金を盗み出すことに成功したルパン一味。しかしその金は伝説の偽札‘ゴート札’であることが判明します。
次の仕事は決まった!と、ゴート札の震源地カリオストロ公国へ向かったルパンと次元が行き当たったのは、花嫁衣裳姿で必死に車を運転する少女と彼女を追う黒ずくめの男たちのカーチェイス。即座に少女の味方をすることに決めたふたりは男たちを撃退し、体を張って彼女を救出しますが、結局新たにやって来た追っ手に彼女を連れ去られてしまいました。ルパンの手に残ったのは少女がしていた手袋と、手袋の中にあった古い指輪。その指輪のおかげで彼は少女が誰なのかを知り、忘れていた過去を思い出します。
ルパンは、少女を助け出す為に命を懸けることになるのです。

以下ネタばれ。

ほんとに大好きで、幼稚園ぐらいのころからテレビ放送されるたびに姉とふたりで必ず観ていました。お札がはらはらと舞う、あのオープニング・・・(うっとり)。

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‘映画史上最も完璧なオープニングのひとつ’と言っても過言ではないでしょう。

小さい時は、どう考えても無理だろ!と突っ込みを入れたくなるようなアクションの数々が大好きでたぶんそれ中心で観てた。
成長するにつれてルパンとクラリスのラブストーリーの部分にも注目するようになっていったけど、最後にルパンがクラリスを連れて行かないのがどうにも解せませんでした。なんで文句なしのハッピーエンドにしてくれないんだろう?とすごく不思議で。
それがいつの間にか、これはこの終わり方だからいいんだなあと思うようになっていったんだよなあ・・・。今考えると、この結末を好きになったその時にわたしは大人への第一歩を踏み出したのかも(←恥ずかしいけどマジでございます)。
有名なラスト、「一緒に行きたい」と胸にしがみつくクラリスを抱きしめようとして思いとどまるルパン。‘抱きしめるだけならいいって、ほらほら抱きしめんかい!’とけしかけたくなりながらも、このやせ我慢に男の美学(!)を見た、そしてこのルパンを‘理想のタイプ’だと思ったわたし。ヒー、駿の思惑に見事に乗せられております。
もちろんハッピーエンドになるに越したことはないけど、一方で“連れてかない男・ついてかない女・あえて別れるふたり”というパターンにも魅かれるようになったのは、きっとこの『カリオストロ』の影響です。うん、絶対そうだ!

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とっつぁんステキ、ギャー!この後見せてくれるウインクもステキ、ギャー!

そしてこの映画も、やはり登場人物がみんないいんだ~。
クラリスの王冠を被って戦い、最後までその王冠を手放さないお茶目な次元、せりふ少ないけど一言一言がかっこよかったり可愛いかったりの五右衛門、色っぽくてなんでもできてパーフェクトな不二子、敵であるルパンを愛してやまない銭形のとっつぁん、健気で可憐で芯の強い宮崎アニメのヒロインの原点クラリス、笑い声の気色悪さは折り紙つきの、悪役の手本のようなカリオストロ伯爵。伯爵の腹心のジョドーも、衛士長のグスタフも、クラリスのお屋敷の庭師のおじいさんも、銭形警部にどこまでもついて行く埼玉県警の警官たちも、すごく好きなんですよねえ。

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こんだけ長い間好きで何度も何度も観返してきて、その間に感じ方が変わったところもあるし、変わらずにずっと好きなところもある。幸せな中にも少しの淋しさがあるラストといい、脇役に至るまで魅力的なところといい、これはほんとにわたしの好みの原点のようです。
細かいところを語りだしたらきりがないので、最後にひとつだけ。
ラスト、庭師のおじいさんがルパンや銭形たちを見送りながら言うせりふ;

「なんと気持ちの良い連中だろう」

これは、この映画を観たわたしの感想でもあるのでした。

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2006年10月16日 (月)

『ブロークバック マウンテン』に教えられた、答えの出ないこと(2)

前々から書こう書こうと思いながら、何をどう書けばいいかわからなくて先送りしていたのですが・・・BBMのBBSについてです。

以前‘BBMを知ってからの半年間’を振り返ったときに書かせていただきましたが、BBMについての感想を初めて書き込んだ4月以来、毎日とは言わないまでもちょくちょく定期的に覗かせていただいておりました。
一時期は書き込みも減り淋しい思いをしていましたが(自分は書き込まないのにこんなことを言うのはおかしいけど)、DVDの発売後また賑わうようになって、「おお、やっぱりこの映画には衰えない力があるんだわ~」と嬉しくなった矢先。過去の書き込みが消されてしまうという大変ショックな出来事が起こってしまいました(皆さんもうご存知ですよね)。

その直後の書き込みから推察するに、どうやらBBS上でけなしあいのようなトラブルがあったらしく(その当の書き込みはわたしは拝見していないのですが)。まさかそれが原因???と自分が引き起こしたことでもないのに動悸がするほど(←大げさではなくその時ほんとにドキドキしてた)ショックを受けたわたし。
しかし実は一万件を超えた結果だったとわかってホッとしました。それと同時に、今まで皆さんと共有してきた気持ちや思い出といったものが消えてしまったような気がして、感じた喪失感はかなりのものでした(←これも大げさじゃないんですよ~)。

でも実は、この‘けなしあい’の頃から雲行きは怪しくなってきていたのかもしれません・・・。

Brokeback05_1024
消えてしまった思い出を振り返り、物思いに沈むわたし・・・なんちゃって。

その後、この痛手を乗り越えた(やっぱり大げさ?)皆さんがまた新たに感想を書き込んでくださるようになり、本当に嬉しく頼もしい思いがしていたのですが。
これまた皆さんご存知のように、一万件を超えてからの書き込みには一種異様なものが混ざり始めました。がっかりを超えて「何言っとんの?」と怒りすら感じるものもあります。こういうことは以前からあったのかもしれないけど、最近は格段に増えてきているような気がする。BBSには、

人を傷つけたり中傷、批判的な内容のものは直ちに削除します。またそのような書き込みが続くようであれば、残念ながら本サイトを閉鎖させていただきます。

とあるのにな・・・。どういうこっちゃ???違反しとる人いっぱいおるやんけ。

意味不明のURL羅列書き込み(このブログにもよく来るけど)は、見つけたら「あ、これは飛ばそ」と自分ですぐ判別できるからまだよいと思うのです。確かに不快だし、めんどくさいけど。
しかし日本語の、個人攻撃しているもの・映画を根底から否定したもの・書き込む先を間違ってんじゃないの?というやらし~いものなんかは、読んでからでないと判断できないのでとても厄介です。

しかし。これも前に書いたから繰り返しになってしまうけど、こんな書き込みをした人たちにもその人なりの考えがあるはず。これを頭から否定することは‘不寛容’になってしまう?
でもこれらの書き込みのせいで(わたしを含め)多くの方たちがとても悲しい思いをなさっているのは紛れもない事実。うううう、どうすればいいの?どうやって折り合いをつけたらいいの?ここまでは許されるなんていう範囲は、果たしてあるの?出た、‘不寛容への寛容’。

さっきBBSを覗いたら、監督をかなりきつい言葉で攻撃しているものがありました。それまでも「うぎゃあ~~~っ、なんじゃこれ~~~っ」と思わされる書き込みはあったけど、この監督についてのものにはほんとにびっくりしてしまった。BBMを大事に思っている人に、明らかに喧嘩を売ってる。こんな考え方を受け入れるなんてよっぽど人間ができてないと駄目な気がするんだけど、それでも頑張らなきゃいけないのでしょうか?
しかしこういう相互理解の欠如?が発展した結果が‘戦争’なのかしら、とも思うし。ほんとにどうすればいいんだろう?それともそこまで大げさに考える必要はないのかなあ。

というわけで、今わたしは心底困って悩んでいるのです・・・。皆さま、どうしたらいいのでしょう?新聞の‘人生案内’なんかに相談したら、よい答えが見つかるのかな?でもきっと自分で考えないと意味ないんだろうし・・・。うお~~~っっっ。

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2006年10月15日 (日)

レンタルビデオ・かいろ

アルコールがやっと抜けました。はーこれで一安心。もう酒は飲まん!(つうか飲めん!)

さて、ちょっと乗り遅れてしまいましたが、いろいろな方がレンタルビデオ屋さんを開店なさっているのでわたしもまねっこしてみました~。
果たしてお客さんは来てくださるのでしょうか???

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

あなたは明日 いきなりレンタルビデオ店をオープンしなければならなくなった。

と、とにかく今すぐタイトルを揃えなきゃ!
せめて五十音につき一本ずつは揃えなきゃカッコつかん!
でもどうせなら自分の好きな映画で揃えたい。
そこは譲れないところ。
リストは手元にないけどとにかく発注先に電話して・・・。
さてあなたは電話口で何を注文する?

 ☆ルール☆
・自分の好きな映画から選ぶ
・一監督につき一作品とする
・自力で思い出す
・外国映画・日本映画は問わず

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

【あ】 アマデウス(M.フォアマン) ←いきなり激戦区
【い】 愛しい人が眠るまで(A.ミンゲラ)
【う】 海辺の家(I.ウィンクラー)
【え】 L.A.コンフィデンシャル(C.ハンソン) ←かなり激戦区
【お】 おじゃる丸 おじゃるとせみら 約束の夏(大地丙太郎)

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【か】 ガタカ(A.ニコル) ←相当激戦区
【き】 キャメロットガーデンの少女(J.ダイガン) ←ああもう激戦区
【く】 蜘蛛女のキス(H.バベンゴ) ←強力なライバルあり
【け】 入荷待ち
【こ】 コーカサスの虜(S.ボドロフ) ←選べないよ激戦区

【さ】 サイダーハウス ルール(L.ハルストレム) ←強力なライバルあり
【し】 小便小僧の恋物語(F.V.パッセル) ←悶絶激戦区
【す】 素晴らしき哉、人生!(F.キャプラ) ←どうにもこうにも激戦区
【せ】 セントラルステーション(W.サレス)
【そ】 入荷待ち

【た】 第三の男(C.リード)  
【ち】 チョコレート(M.フォスター)
【つ】 追憶(S.ポラック)
【て】 天使が隣で眠る夜(J.オディアール) ←強力なライバルあり
【と】 トーチソング トリロジー(P.ボガート) ←なんでこんなに激戦区

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【な】 ナイト オン ザ プラネット(J.ジャームッシュ)
【に】 ニキータ(L.ベッソン) ←強力なライバルあり
【ぬ】 入荷待ち
【ね】 猫が行方不明(C.クラピッシュ)
【の】 ノーバディーズフール(R.ベントン) ←強力なライバルあり

【は】 ハッシュ!(橋口亮祐) ←強力なライバルあり
【ひ】 ひまわり(V.D.シーカ) ←涙の激戦区
【ふ】 ブロークバック マウンテン(A.リー) ←つらすぎる激戦区
【へ】 ペーパームーン(P.ボグダノヴィッチ) 
【ほ】 僕の大事なコレクション(L.シュライバー) ←強力なライバルあり

【ま】 マグノリア(P.T.アンダーソン)
【み】 入荷待ち(予定では未来世紀ブラジルかミツバチのささやき)
【む】 ムーランルージュ!(B.ラーマン)
【め】 めざめ(D.グレーズ)
【も】 モンスターズ インク(P.ドクター) ←強力なライバルあり

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【や】 焼け石に水(F.オゾン)
【ゆ】 ユージュアル サスペクツ(B.シンガー)
【よ】 欲望の法則(P.アルモドヴァル)

【ら】 楽園の瑕(W.カーウァイ) ←どうすればいいの激戦区
【り】 リトルダンサー(S.ダルドリー)
【る】 ルパンⅢ世 カリオストロの城(宮崎駿) ←強力なライバルあり
【れ】 レッドバイオリン(F.ジラール) ←もんどりうちそうな激戦区
【ろ】 ロードオブザリング三部作(P.ジャクソン)←腹立たしいほど激戦区

【わ】 忘れられない人(T.ビル) ←強力なライバルあり

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

なんだかかなりオーソドックスなものばかりを選んでしまった・・・。
しかし激戦区ばかりで悩みまくりました(【ろ】はちょっとずるいことをしてしまったけれど、『ロード』は全部合わせてひとつの作品だと思うので勘弁してくださいませ)。タイトルが同じ文字で始まる映画がどんだけ多いのかということを教えてもらった感じですね。
ちなみにこの記事、通勤・仕事・帰宅中の時間に考えて作成したのですが、頭の中で「ヨシ、この文字はこの作品だ~」と決定していたはずなのにいざパソコンの前に座ると「あれ?あれれれ?なんだったけ?」となってしまって、おかしいような恐ろしいような。紙にいちいち書き留めておけばよかったのかしら。そして、‘激戦区’とか‘ライバルあり’なんてつけてるものも、じゃあ他のはなんだったの?と自分に聞いてみても思い出せるかどうか怪しかったりして・・・。ギャア~~~。

そして最後に、真紅さんの真似をしてわがレンタルビデオ屋のバイトくんをご紹介いたしましょう。ジャジャジャジャ~ン(←せっかくなので?効果音);

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『おじゃる丸』の電ボくんです。子鬼三匹も好きなんだけど、年齢が労働基準法に違反してたりするかもしれないので。電ボは働き者なのできっと助かるぞう♪

以上、(‘いい男バトン’もまだ記事にしてないのに・・・とあせりつつ)開店報告させていただきました。ご来店お待ちしておりまーす。

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2006年10月14日 (土)

情けなや

以前うちにお客さんが来られた時に買って、結局飲まずじまいになってしまった発泡酒。
もう2ヶ月近く冷蔵庫の中でごろごろしていてすごく邪魔だったので、先ほど母とふたりで半分こして飲んでみたのですが・・・。
頭はガンガン・吐き気もするしお腹の調子も悪くなってきてしまいました~。
なんでこんなにアルコールに弱いのでしょうか???
わたしもお酒を飲んで気持ちよくなってみたいのになあ。
こんなんじゃお山でキャンプなんて夢のまた夢ですね、シュン。
というわけでもう寝ます。おやすみなさいませ・・・。

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イニスやジャックのようにうまそうに飲めたらいいのになあ。

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2006年10月11日 (水)

『ロック ユー!』  星を動かした男と、イカれた・イカした仲間たち

なんだか元気になれる映画を観たい気分だなあ、何がいいかな~と考えていたら、8月の地上波放送でズタボロにされてしまった『ロック ユー!』の恨みをまだ晴らしていなかったことに気がついてしまった!そんなわけで、喜びいさんで観直すことにしました。

ロック・ユー! DVD ロック・ユー!

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/09/27
Amazon.co.jpで詳細を確認する

中世ヨーロッパ。平民にも貴族にも大人気のスポーツ、馬上槍試合。エクター卿は数々の勝利を収めてきました。しかし年老いた彼は試合の途中で亡くなってしまい、長年従者として仕えていたウィリアムが卿のふりをして代わりに出場することになります。初めての試合で辛くも勝利するウィリアム。その勝利は、彼に子供の頃からの「騎士になりたい」という夢を思い出させました。
貴族にしか参加が許されていない馬上槍試合に出場するためには、自分の‘屋根葺き職人の息子’という身分を偽らなければなりません。当然猛反対する仲間たちをなんとか説き伏せ、ウィリアムは特訓を重ねて‘ウルリック・フォン・リキテンシュタイン卿’として試合に臨みます。経験を積み度胸をつけて、どんどん強くなっていくウィリアム。いつの間にか彼はとても有名な人気者になっていました。
しかし、このままうまく行くわけはなかったのです・・・。

以下ガンガンネタばれ。

「なにを~~っっっ!!!」と言われてしまいそうですが、冷静な目で観るとこの映画は特に何のひねりがあるわけでもない、‘恋と友情と挫折と成功’を描いた王道の中の王道ストーリー?だと思うんです。それなのになぜこんなにわたしを(そしておそらく皆さんをも)惹き付けてやまないのかなあ?前にも書きましたが、それはやっぱり登場人物が揃いも揃ってすごーく魅力的だからなのではないかと。

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ウィリアムは‘情けは人のためならず’を地で行ってる気がする。

なぜかジョスリンの名前を覚えられずにいっつも‘ジャスミン’と勘違いしてしまうんだけど(←映画が違うやろ)、彼女も含めてもうできれば全員の画像を貼り付けたいくらい、出てくる人出てくる人みんな大好き。
主人公ウィリアムのかっこよさとお茶目さ(笑顔がもうかわいくってかわいくって~)。そして夢を実現しようとする情熱。スポ根もののお約束なんだけど、やっぱり応援したくなってしまう。
あの憎たらしいアダマー伯にも、ものすごく卑怯な手を使ってさえ絶対ヒーローにはなれない悲哀(というと美しすぎるけど)のようなものがそこはかとなく感じられるし(『ピンポン』の記事でも書いたけど、こういう‘持たざるもの’にとことん弱いのだった)。しかも彼がいなければストーリーは展開しないじゃあないですか、ねえ。

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古今東西?仇役というのは黒い鎧兜で黒い馬に乗ってるもんなのです。

そして頻繁に出てくる、印象的な言い回し;

“change the stars”

映画の中では“運命を変える”と訳されていましたが、文字通り受け取るなら“星座の配置を換える”という意味になるのでしょうか。ウィリアムは、それだけ不可能に近いことを見事にやってのけた。でもそれは彼ひとりでは絶対に無理でした。そういうベタな(?)部分も実に心地よい。

息子が夢を叶えられるように手を尽くし、成長した彼が帰ってくることを信じてずっと待ち続けたお父さん。
そんなお父さんの思いを察し、12年もの長い間ウィリアムを預かってくれたエクター卿(きっと自分の練習相手に指名することでウィリアムを鍛えてくれたんじゃないかな)。
一緒にエクター卿に仕えていたローランド。今やみんなのまとめ役。最終的な決定権は彼にあるらしく、何かあるとウィリアムもみんなもローランドにお伺いをたてるのが当たり前になっている。
ボケるつもりはないのにいっつもボケ担当になってしまうワットは、みんなから突っ込まれどつかれもう大変。でも彼がいてくれないと旅は楽しくならない。
メカニック担当・ケイトには愛する夫を亡くしたという過去があるけれど、仲間たちの中で一番しっかりしているクールビューティー。彼女のひとことにはなにか重みがある気がする。

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miyucoさん曰く‘堂々としたいかがわしさ’。諸手を挙げて賛成ですー。

賭け事に目がないチョーサー。しかし同時に、敵の紋章官ですら彼の話術に憧れていつの間にか真似をするようになってしまうという悪魔的な魅力の持ち主でもある。裸でも革コートでもイイんだなあ。
ウィリアムのハートを射抜いた、エキゾティック美人のジョスリン。頭の回転が速い相当な自信家だけど、ウィリアムからのラブレターに感激してワットに託した返事はすごく可愛かった。
恋にうつつをぬかすウィリアムを半分呆れ顔で見ていたローランドを一目で虜にした、ジョスリンの侍女の(というよりも友達のような)クリスチアーナ。控えめな、これまた美人。
ウィリアムに受けた恩を、ここぞという時に最高の形で返してくれたエドワード黒太子。きっと彼はウィリアムの大ファンになっちゃったんだろうな。
そして、アダマー伯の紋章官ジャーマイン。主をたてながらも、チョーサーの素晴らしい弁舌に圧倒される表情。最後の試合のウィリアムの見事な勝利に素直な称賛と拍手を送る笑顔。彼のこの笑顔のおかげで、わたしは本当にこの映画を好きになったのでした。

以上、いつものように長くなってしまったけど、この中の誰か一人でも欠けていたら物足りなく感じてしまったのではないかとわたしは本気で考えております。

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この画像を見つけられてどんなに嬉しかったことか・・・。

チョーサーが紹介した「ウィリアム・サッチャー卿」という名前を聞いて、(本人は自覚していないだろうけど)真面目なことなんて言ったためしがなかったワットがこう言う場面がすごく好き。

「サー・ウィリアム・サッチャー。お前の名前だぞ」

登場人物みんなそれぞれに、ちょっとだけ・あるいはしっかりと見せ場を作ってくれる、こういう丁寧な映画を観ると本当に嬉しくなってしまいます。この点では『ロック ユー!』はBBMに通じているんじゃないかなあと思うんだけど、皆さんいかがでしょうか?
そしてもうひとつ無理矢理共通点を挙げるなら、恋に落ちたウィリアムがこんなせりふを言っていました。ぎゃー、ラストのイニスだあああ!!!なんちゃって。

“Love has given me wings, so I must fly.”

うう、毎度のことながらながーい感想を書いてたらまた観たくなってきてしまいました。・・・DVD買わなきゃあ。コレクターズエディション、今は¥1,490になっているそうですよ。皆さまもおひとつどうですか???

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2006年10月 8日 (日)

ブロークバック マウンテン:お母さんの手

BBMの病にかかっているならほとんどの方が好きに違いない、ジャックのお母さん。
ジャックの実家にやって来たイニスに見せる、お母さんの優しさと悲しさ。この場面のおかげで、数分しか出てこない彼女がわたしの中では主要登場人物のひとりになっています(たぶん、いえ、絶対に皆さんもそうですね)。

とても印象深い、大好きなこのせりふ;

You come back and see us again.”

こう言うお母さんの手が喉元に押し当てられているのを見て、以前書いた『蜘蛛女のキス』のことを思い出しました。以下は小説『蜘蛛女のキス』からの引用です。

「あたし、疲れ切ってるのよ、バレンティン。辛い思いばかりするんで疲れちゃったの。あなたには分からないだろうけど、体の中が痛くて仕方ないのよ」
「どこが痛むんだい?」
「胸の中、そして喉・・・・・・。悲しみってどうしていつもそのあたりで感じるのかしら?」
「確かにそうだ」
「で、今、あなたったら・・・・・・あたしが泣きたいのをこらえさせちゃったでしょう。だからもう泣けないじゃない。これはなお始末が悪いのよ、喉にしこりができて、締めつけられるみたいな感じで、ものすごく苦しいの」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あんたの言う通りだ、モリーナ、悲しみを一番感じるのはそこんところだ」

少し前に、9/7の‘小さな国際交流?’の記事で書いた叔母と真面目な話をしたのですが、叔母はこんなことを言っていました(どうしてこんな会話をするに至ったのかはここでは省かせていただきますが)。
「母親っていうのはどれだけ経っても子供のことが心配だし、自分の子供が誰かからひどい扱いを受けたら本当に悔しいもんなのよ。どんなことがあっても子供の味方であろうとするもんなの」

叔母にこう言われた時、母を安心させる為にはちょっと自分を改めなきゃいけないなあと感じたのですが・・・。わたしには子供がいないけど(これから子供を持てるのかもわからないけど)、分かっているつもりだったけど、やっぱりお母さんってこんな感じなんだよな、と強く思いました。

そしてDVDで『ブロークバック マウンテン』を再見して、上記のようにお母さんの手が喉のところにあるのを再確認したら、なんというか・・・、今まで以上になんとも言えない気持ちになってしまったのでした。あの手は、悲しみが表に出てきてしまわないように無意識のうちに喉のところに添えられたのかな、と。
息子の、普通の人とは違うところ(こんな風に書くのはものすごく抵抗があるけど)にも気付いている。そして、彼がなぜ死んだのかその本当の理由も知っているに違いない(とわたしは思う)両親。叔母の言葉を思い出して、たまらなくなりました。

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で、ここからはこの画像をお借りしたサイトにあったR.マクスウェルに関する記事を自分で訳したものを(無断で・・・)載せます。お断りしておきますが、すごく長くなりますし果たしてきちんと訳せているかどうかもかなり怪しいです(そしてかなり意訳?)。

R.マクスウェルは『ブロークバック マウンテン』だけで我々に強烈な痛みを与えた女優ではない ― レジャーの娘、捨てられた恋人を演じたK.マーラとL.カーデリーニ、さらに不幸せな妻たちを演じたM.ウィリアムズやA.ハサウェイも素晴らしいが ― しかし彼女は、この映画のラスト手前の場面で論ずるに値する成功を収めた。

マクスウェル演じる母親と(優れた俳優であるP.マクロビー演ずる)不機嫌なホモフォビアの夫が、レジャー演じるイニス・デル・マーと息子のジャックの間にどのような関係があったのかを知っていることは明らかだ。しかし悲しみの浮かんだ彼女の表情は、イニスがやって来たとき、受容と深い同情に溢れてもいる。そして同時にこれらは全て夫のガラガラヘビのような気質(ここの訳、変です・・・)への恐れに縁どられている。

マクスウェル、ロビー、レジャーの静かだが痛烈な相互作用は映画の悲しみを最大限にまで増し、そしてそれに続く、娘が結婚すると告げに来た後、イニスとジャックのシャツがトレーラーに残される場面で、この映画の最終的な成功は決定付けられた。

事実、マクスウェルの場面を見れば見るほど、結末に向けた彼女の絶妙で控えめな表現があってこそ最後の10分ほどが感情に訴えかけるものになっていることがよくわかる。
彼女の瞳にはこの映画の全てが表われているのである。

そして彼女がこれをやってのけるには、ほんの数時間しかなかった。

~中略~

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「セットに到着した時、みんなは帰る準備をしていたの」と、彼女は思い返す。「そこでの撮影のまさに最後だったのよ」

ジャックの母親は“生涯ペンテコステ派のクリスチャン”なのだとマクスウェルは言う。「そしてこの場面で、彼女は夫が(イニスとジャックの)この関係をどう感じているかについて、そして彼女自身が耐えてきた残酷さと苦しさに対して、緊張や恐れを抱いていることが窺える。でも、ジャックがとても愛されていたのだと知ることができて、彼女はイニスに深い共感を抱くの」

マクスウェルはこう思っている。『ブロークバック マウンテン』のキャスティングディレクターであるA.カウフマンは、マクスウェルが『デッドマン ウォーキング』でS.ペン演じる死刑囚の母親役を演ったことにより、A.リー監督との打ち合わせを数ヶ月早めたのではないか、と。「わたしには悲しい母親としての歴史があるってわけね」

~中略~

『ブロークバック マウンテン』は9月はじめから映画祭などの観客向けに上映されていたが、マクスウェルは12月9日に一般公開されるまで観ることはしなかった。
「あの、わたしたちの場面に本当にショックを受けたの」彼女は思い出す。「あの厳しさと簡素さ。リーがどんな風にそれを録っているのか。例えばヒースの肩にわたしが手を置いたときなんかを。隣に座っている友人(たぶんヒースのこと)をわたしはぎゅっと掴んだのだけど、とても不思議に感じたの。この年老いた手・・・これはわたしの手なの?そう自分に尋ねたわ」

~中略~

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10月初旬、マクスウェルの演技は他の誰でもない原作者のA.プルーから絶賛された。以下はマクスウェルを涙させた手紙からの一文である。

“親愛なるR.マクスウェル様
厳しく、やかまし屋である夫の打ちのめされかけた妻、そして、ケーキとコーヒーのくだりのほんの数行からジャックにとってイニスがどういう存在であったのか彼女は知っているのだとわからせてくれる・・・まさにこれ以上にない表現です。こんなに少ない手がかりからあなたがどうやってこのような演技をしてくれたのか、わたしには見当もつきません。
たくさんの感謝を込めて、A.プルー” 

~以下略~

すごく素敵な手紙のはずなのに、わたしの英語力では訳しきれないのがとても残念なのですが。
プルー氏もおっしゃっているように、映画でのジャックのお母さんは小説よりもずっと多くのことを物語っています。服をきちんと整えてイニスを出迎える様子、背筋をピンと伸ばして立っている姿。イニスの肩に置かれる手。シャツを袋に入れるとき、去ってゆく息子の形見をいとおしむかのようにほんの一瞬手を止める、その動き。その全てが、息子への、息子が愛した人への彼女の愛を表している。お母さんのためにも本当にジャックには生きていてほしかった・・・と書くと、また堂々巡りになってしまうけど。

しかし困りました。この調子で行くと、確実に毎年秋にはBBM気分になってしまいそうです。うーん参ったなあ・・・なんて言いながらも、やっぱりお山のことを考えつつ今日はこの辺で。

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2006年10月 3日 (火)

秋でございま~す♪

今日はちょっと気分転換(タイトルはサザエさん調?でお読みくださいませ~)。

10月になりました。秋です。
秋といえば、やっぱり‘食欲・芸術・読書・睡眠’でございますね。

しかし秋には他にも大事なことが(←ここでも大げさ)。道端の花大好き人間のわたしとしては、ご近所の金木犀がいつ開花するのかがものすごく気になるところなのです。
金木犀、昔は我が家にも植えてあったけどもよそのお宅にあげちゃったそうで。しかもうちではあまり咲かなかったのが植え替えたとたんたくさん綺麗に咲くようになったらしく・・・。キーッ、なんでさ~、どうしてなのさ~!ああ、金木犀のあるおうち、憧れるー。
でも以前はたくさんあった金木犀ポイントも、道路拡張工事やなんやかやでめっきり減ってしまいました。寂しいな・・・。

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この画像を見てるだけで香りが・・・。

毎年この時期になると、朝出勤する時や夜帰宅途中に鼻を相当くんくんひくひくさせて金木犀の香りサーチを行ってしまいます。まだほとんど咲いていないときでもしっかり香ってくるんですよね。

昔読んだ漫画で、「祖母が金木犀の花を集めて枕を作ってくれていて、その枕を使うと髪に香りがうつるからとても気に入っていた・・・」とかいう話がありました。それが頭にあるせいで、どうやって枕作るんだろう?かなりたくさんの量の花が必要だよねえ、などといまだに気になってしまって。落ちた花を使うんならほうきでかき集めるのでしょうか、でも砂とかも混ざってしまいますよねえ。だったらやっぱり盛りの花を摘んじゃうのかなあ、なんだかもったいないなあ。うーむやっぱり気になる。

それにしても‘香り’ってものすごいタイムマシンだと思います。何かの香りにふっと反応してある特定の時期を強烈に思い出してしまうようなこと、皆さまも経験がおありじゃないですか?わたしは金木犀の香りを嗅ぐと、テニスコートの周りに背の低い金木犀が何本か植えてあった、すごく楽しかった高校時代を思い出します(テニスはやってなかったけど)。
(そしてここでやっぱりBBMの話をさせていただくと、‘香りのタイムマシン効果’を知っているわたしには、イニスがシャツの匂いを嗅いでみたけどもう何も残っていなかったという小説のくだりがとても悲しいのです。イニスの、ジャックの痕跡を探しだしたいという気持ちがすごくよくわかるから。はあ。)

ついでに、秋の花といえばやっぱりこれ。

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「秋桜」、山口百恵ですね。

うちにはコスモスないんです。通勤途中のお宅にもたぶん植えられてないので、あんまり見ることがありません。・・・一面のコスモス畑に行ってみたい・・・。

そして、もうほとんど終わりかけだけど。

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「曼珠沙華」といったらやっぱり百恵ちゃん、「彼岸花」といったらごんぎつね。

『ごんぎつね』は小学校の国語の教科書に載っていました。影絵のような挿絵がついていたのがすごく印象に残っています。文中に出てきたかはっきりとは覚えていない彼岸花、たしかその挿絵のなかにはあった気が。ごんは兵十に栗なんかも持っていってたような覚えがあるし、これはきっと秋のお話なんですよね。

で、話が彼岸花からずれてしまいますが、『ごんぎつね』を‘こんなに報われない、悲しいお話があってもいいの?’と幼心にむちゃくちゃショックを与える物語の西の横綱?とするなら、東の横綱はわたしにとっては『泣いた赤鬼』です。幼稚園の頃「キンダーブック」という本に収録されていたのを読んだのが最初だと思いますが、たぶんその時わたしは号泣したはずです。だって今でもやっぱりダメだもん(そういえば『西遊記』にこの『泣いた赤鬼』を元ネタにしたエピソードがありました。それを観た時も泣きました・・・)。

と、なんだかやっぱりまとまりがつかなくなってきたので強引にまとめてしまうと、こんな感じで(?)秋は花の探索にも、物思いにふけるのにもぴったりの季節なのでございました。そして食べて眠って映画観て本読んで、あー秋ってほんとに忙しい~。

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