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2006年8月19日 (土)

『ピンポン』  I can fly!ヒーローへの道

男の子同士の友情を描いた物語が好きです(愛情でもいい)。そういう映画の筆頭といえばやっぱり『スタンドバイミー』なのですが、『スタンドバイミー』は8月の終わりに観る!と決めているので、その前哨戦として(?)青春卓球映画『ピンポン』を観直してみました。しかもこれも夏の映画だった!男の子と夏って、なんか、なんか雰囲気ありますよねえ。

Pingpong_0813_5_1

ペコ(窪塚洋介)=自分の才能を過信して墜落しかける‘ヒーロー’。スマイル(ARATA)=能力を発揮しようとしないクールな天才。アクマ(大倉孝二)=劣等感を克服するために努力し続ける凡人。チャイナ(S.リー)=上海から留学してきた、崖っぷちのエリート。ドラゴン(中村獅童)=勝利が宿命となってしまい、卓球を続けることに半ば苦痛を感じている、名門卓球部のキャプテン。
‘ピンポン’に賭ける高校生たちの、成功・挫折・対立・友情。そして彼らを支える人々を描いた作品です。

以下ネタばれ。

実際に観る前、今時の若者向けの単なるおしゃれな雰囲気映画(こういう言い方で伝わりますでしょうか?)だったらいやだなあと思っていたわたしの根拠のない偏見は、鑑賞後すっきりさっぱりそれはもうきれいに洗い流されてしまいました。
何度観ても何度観ても、ペコとスマイルの深い絆(恥ずかしいけどこの言葉を使っちゃう☆)に憧れ嫉妬し、その一方で、アクマやチャイナやドラゴンたち‘ヒーローにはなれなかった奴ら’の苦悩や悲しみに圧倒されるわたし。この映画の人物描写の繊細さ、かなりのものだと思います。

Pingpong_0813_2

幼なじみだったペコ・スマイル・アクマ。三人はいつも卓球をしていました。①ペコ ②アクマ ③スマイル という順位を覆すべく、いちばん熱心に練習に励んできたアクマ。しかし運命は残酷で、アクマが(そしてペコが)予想もしなかった展開が待っていました。ペコには勝ったもののスマイルに負け、アクマは自分の限界を知るのです。彼のスマイルに対する叫びが痛い。

「なんでだよ!なんで俺じゃなくておめえなんだよ!」

この後、アクマは卓球をやめてしまいます。そしてペコも、自分の才能に自信を失くしていました。スマイルの思わぬ実力を見せつけられたせいで。スマイルはスマイルで、いじめられっ子だった自分を助け卓球を教えてくれた、‘ヒーロー’のような憧れの存在であるペコを追い抜いてしまったことに動揺します。

Pingpong_0813_6 わたしの大好きなアクマ

そして次の年の夏。同じ高校の卓球部に所属していつも一緒に練習していたペコとスマイルが、初めて違うコーチの元で別々に修行をし、迎えた大会。果たしてペコは、スマイルの憧れる‘ヒーロー’に戻れるのか?

ペコとスマイルは、本当にこれ以上ない‘ソウルメイト’。わたしにとっては『BANANA FISH』のアッシュと英二、BBMのイニスとジャックと同じくらいに大好きなふたりだと言っても過言ではありません(ペコが、ジャックを失った後にイニスはこんなことを思ったんじゃないかな、というようなせりふを言う場面もあります)。ペコがピンチに陥ったときにスマイルの声が聞こえてくる場面で、ふたりのつながりの強固さに胸を震わせた方は少なくないでしょう。離れていてもお互いのことを誰よりもわかっているふたりの会話は、愛に溢れています(またかよ、なんておっしゃらないで下さいませ~)。

Pingpong_0813_4_2 「行くぜい、相棒」
「お帰り、ヒーロー」
(↑またスマイルがこのせりふを後ろ向いてペコに聞こえないように言うのです。ああ~)

そしてアクマは、あの傑作『アマデウス』のサリエリであり、わたしの漫画人生のきっかけとなった『ガラスの仮面』の亜弓さん。しかし、天才を見極める能力だけ与えておきながら、最も欲していた音楽の才能はくれなかった神を恨んで凶行に走るサリエリとは違って、アクマは実にかっこいいのです。せりふもいちいちかっこよくて、この映画のキザな部分担当はアクマなの?と思うぐらい。
それにチャイナもドラゴンも実にいい。ペコとスマイルを見守る周りの人々もすんごく素敵。様々な形の、様々な量(?)のを観ることができて、本当に胸が熱くなるのです。うお~っ、自分で書いといてまた観たくなってきちゃう。

テクノな音楽なんてちっとも興味がなく、全部おんなじに聞こえる~と思っていたわたしですが、この映画のエンディングの『YUMEGIWA LAST BOY』を聞くと、歌詞もわからないのに何故か泣けてくる。最後の最後まで、清々しい映画なのでした。

結論:ああ、男の子と夏って、やっぱり、やっぱり、いい。
    そして、‘ヒーロー’とはなんぞや?(←えっ、わかってないの?と自分でつっこむ)

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コメント

この映画よかったですよね。窪塚くん、好きでした♪ 男の子と夏!私も同感でございます。瑛太くんを初めて知ったのも『ウォーターボーイズ』でした。そうそう瑛太くんって窪塚くんにちょっと似てません?

投稿: ぽち | 2006年8月19日 (土) 22時19分

ぽちさん、こちらにもコメントありがとうございます!
ほんとによい映画ですよね♪ 今回観直してみてまた更に好きになってしまいました。記事中では書いてませんが、コーチやオババ、キャプテン大田も大好きです!
しかし瑛太くんと窪塚(なぜかこちらは呼び捨て)・・・。うーむどうでしょう・・・。ちょっと普通の人とは違う、ほんの少し狂気じみたところとか似てるかなあ(怒られちゃいますか、ぽちさん。ごめんなさい~)。
それではこの辺で。ありがとうございました!

投稿: かいろ | 2006年8月19日 (土) 23時13分

カイロさん!こんばんわ!『カリスマ映画論』管理人の睦月です!
以前はBBMの記事へのコメント、ありがとうございました!コメントのお返事できてなくてホントにごめんなさい。

この作品は邦画の中でも特に好きな作品です。かれこれ何度鑑賞したことか・・(笑)
独特な個性のキャラがたくさん出てきますが、やっぱり睦月は一番目立つ主人公のペコちゃんが大好き!

もう一度見たくなってきました。

カイロさん、これからもどうぞよろしくお願いいたします!

投稿: 睦月 | 2006年8月21日 (月) 00時28分

こんにちは。
「ピンポン」大好きです。原作も好き。
公開当時は、中高生に絶大な支持を受けていましたね。
宮藤官九郎の脚本だったと後になって知りました。
音楽もよかった。サントラ、持ってますよ~。

投稿: miyuco | 2006年8月21日 (月) 18時43分

そうそう瑛太くんと窪塚(私もほんとは呼び捨ての方がしっくりきます;)、かいろさんのおっしゃったように狂気じみた演技が似てるように思うんです。あと、『GO』の髪型の彼が瑛太くんに似てるような・・思い込みかも(汗)

投稿: ぽち | 2006年8月21日 (月) 20時06分

睦月さん、miyukoさん、ぽちさん、コメントありがとうございます!まとめてお返事させてくださいませ。


・睦月さん
TBも送っていただいて光栄です、ありがとうございます!睦月さんのお宅の訪問者の多さに恐れをなしてコメントなしTBしてしまったのに、拙ブログにコメントしていただいて恐縮です・・・。本当に申し訳ありません。こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします!!!

わたしもかなりの回数観ています、この映画。そしていっつも同じところでじーんとしてしまうのでした。

>独特な個性のキャラがたくさん出てきますが、やっぱり睦月は一番目立つ主人公のペコちゃんが大好き!

もちろんペコ大好きです~!ラストで子供の頭を撫でるところとかニッと笑うところとか。はあ~、オババではありませんが、‘丼いっぱい愛してる’かもしれません~。
それではこの辺で。またお邪魔させてくださいませ、ありがとうございました!


・miyucoさん
こちらにもコメントありがとうございます~。
うふふ、やっぱりmiyucoさんお好きだと思ってました『ピンポン』☆ 実はmiyucoさんが記事を書かれていないかなあと思ってひそかにお宅にお邪魔させていただいてたんです、イヒ。

それにしても宮藤官九郎氏はやっぱりすごい人なんですね。この脚本は主役以外の人たちにも愛が注いであるところが本当に好きなわたしです。
サントラお持ちなのですか、いいなあ~。この映画に関してはテクノ素敵!と思ってしまいました。しつこいけど『YUMEGIWA~』、はあ、いいですよねええええ。
そしてわたしは『ピンポン』は原作読んでいないのですが、『鉄コン筋クリート』の方は読みました。すごく好きでした!冬に公開される映画が楽しみです。『ピンポン』もいつか読んでみようかなあ。
それではこの辺で。ありがとうございました!


・ぽちさん
ホッ、‘狂気じみた’なんて書いてしまってぽちさん怒ってらっしゃるのではないかと思って心配しておりました(なら書くなー)。よかったです~☆
そしてそして、

>『GO』の髪型の彼が瑛太くんに似てるような・・

似てます~!!!そうです、ちょっと変わった独特な髪形ですよね。でも似合ってるんだ~♪エッヘッヘ(不気味)。
そしてやっぱり窪塚は‘窪塚’ですよねー。呼び捨て呼び捨て♪
それではこの辺で。ありがとうございました!

投稿: かいろ | 2006年8月21日 (月) 21時57分

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【映画的カリスマ指数】★★★★★ 「僕はこの星の一等賞になりたい!」(←名台詞) あぁ・・もう、ペコちゃんに首ったけ。 [続きを読む]

受信: 2006年8月21日 (月) 00時24分

» この星の一等賞に、なりたいの、俺はっ!! [milk pan,milk crown]
「この星の一等賞になりたいの卓球で、オレは。そんだけ!」 『ピンポン』のこのセリフ、映画だと少し変わってました。「そんだけ!」がついてる。原作のセリフが散りばめられている脚本。よくできています。よっぽどの原作ファンでなければできないと思う。「月にタッチするなんて、わけないよ」冒頭のこれも原作にあります。「月にタッチして帰って来るぐれえ、わけなかったぜ。奇跡なんて言葉、知らなかったよっ。」 映画も原作も大好き。松本大洋の絵は、枠線以外の線はすべてフリーハンドで描いてある。そのフリーハンドの... [続きを読む]

受信: 2006年10月11日 (水) 12時00分

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