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2006年6月 7日 (水)

スモーク

SMOKE DVD SMOKE

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2002/03/20
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‘1990年、ブルックリン。時間を撮る煙草屋の店主、書けなくなった作家、たくさんの名前を持つ少年・・・・・・いくつもの人生が交錯し、何かが起ころうとしていた。’ 群像劇好きのわたしは、このコピーを見てぬお~っとなったもんでした。
「スモーク」はBBMと同じく、アジア出身の監督によるアメリカを舞台にした名作です。というわけで今回もこじつけBBM。台詞のひとつひとつに、そして台詞と台詞の‘間’にも意味があるような、淡々と、しかししっかりと語られる物語。ちなみにこの映画の中でも、登場人物の一人が思いがけないところで最愛の人に再会するシーンがあります(あえて詳しくは書きませんけども)。

「スモーク」というくらいだからいーっぱい煙草(と煙草の煙)がでてきます(BBMでもふたりはいっつも煙草を吸っていたなあ)。でもこの‘スモーク’というのは、“あやふやで掴めないけれど確かにそこに存在する、とても大切なもの” の象徴。この映画に出てくる人々はその‘大切なもの’に気がつくことができました(イニスは気付いたけどもう遅かった。うう~)。そしてBBMでは登場人物たちの思いは必ずしも相手に伝わらない・つながりができているようで実はつながっていなかった・本当につながろうとした時には相手はもういなかった、のが辛かったのですが、「スモーク」ではみんなしっかり、あるいはゆるりとつながれています。観ていてそこのところにとてもほっとさせられたのでした。

以下ネタばれです。

‘書けなくなった作家’ポールは、‘時間を撮る煙草屋’オーギーのおかげで創作意欲を取り戻す。オーギーはポールのところに居候している‘いくつもの名前を持つ少年’ラシードによって(危ない橋を渡るような)商売を邪魔されるが、かえってそのおかげで昔の恋人とその娘(もしかすると自分の娘かもしれない)を助けることができた。ラシードはポールとオーギーのおせっかい?によって、実の息子だと名乗れないままで雇ってもらっていた父親に真実を告げる。ポールたち、ラシードの父親のサイラス、オーギーの昔の恋人ルビー、それぞれがみんなひとりで背負おうとしていたいろいろな重荷は、誰かのおかげでふわっと煙のように軽くなっていく。

Smoke_0606_1 物語の途中にいくつか挿入される小噺のようなものも素敵です。冒頭の‘煙の重さを量る’というエピソード。それを語るウィリアムハートの台詞の間の絶妙さとも相まって、最初から話に引き込まれてしまいました。そしてなんといってもやはり最後の‘オーギーレンのクリスマスストーリー’。ハーヴェイカイテルの長い、ほんとに長い語りのおかげでその場面が目に浮かぶよう。(もしイニスやジャックのそばにオーギーのような人がいて、「大丈夫だよ、小僧」なんて言いながら肩を叩きでもしてくれたなら、彼らも少し楽になれたのではないかあと妄想してしまうわたしです・・・。)最後、エンドクレジットは、なんだか小さいけれどしっかり灯ったマッチのあかりがまわりを照らしているような、‘珠玉の’という言葉がぴったりの名場面だと思います。
ポールはオーギーの話をうまい嘘だと言う。本当でも、嘘でも、まあどっちでもいいのですが。でもこの話を聞いてポールも観客も心を動かされたことは確か。そういう意味で考えると、やはり本当に起こったことなのではないかと思えてならないわたしです。

俳優陣がこれまた豪華なこの映画。ハーヴェイカイテルの額に刻まれた皺、ウィリアムハートのとても優しい微笑みを観るだけでも価値ありです(ちょっと大げさすぎるかな?)。BBMのあれこれでちょっと疲れた方、ご覧になってみてください。

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コメント

かいろさん、こんばんは。
「スモーク」、なつかしいです。ビデオで見ただけですが、アジア系の監督さんだったとは嬉しいですね。

>思いがけないところで最愛の人に再会するシーン

実はこのエピソードが目当てで見たのです、私にも似たような経験があるので。案の定、ボロボロ泣いてしまいました。でもあの作家がW.ハートだったなんてころっと忘れてました。彼は「偶然の旅行者」でも息子を失った父親を好演してましたね。

タイトル通り、本当に煙草会社大喜び&BBMを想起させるスモークのオンパレード。ギャストも豪華だったのですね。久々に再見したくなりました。

投稿: びあんこ | 2006年6月 9日 (金) 19時04分

びあんこさん、こんばんは!
「スモーク」、わたしもかなり久しぶりに観なおしたのですが、何度観てもやはり同じところで泣いてしまうのが自分でも不思議です・・・(‘最愛の人との再会’シーンもそのひとつでした)。
ウィリアムハートといえば、わたしが真っ先に思い出すのはやはり「蜘蛛女のキス」なのです。びあんこさんはご覧になってないのですよね?(実は「蜘蛛女の~」もわたしにBBMを思い出させるんです・・・。今度またこじつけ記事を書こうかなー、と。)「偶然の旅行者」は未見なので、ぜひ観てみたいです。びあんこさんの記事をもう一度読んでから観ます!
では今日はこの辺で。またいらしてくださいませ。

投稿: かいろ | 2006年6月 9日 (金) 22時59分

ああ、ここにも仲間が!!

この作品、ほんとうにイイですよね♪
大好きな作品のひとつです。音楽、映像、語り・・どれをとってもタバコが本当に似合っている。(私、タバコはキライなんですけどね..苦笑)

ウィリアム・ハートも、やはり「蜘蛛女のキス」を思い出します!!この方、役の幅が広いですよねぇ~。最近観た『天国の青い蝶』を観たときもやっぱり思い出してしまいました(笑)

投稿: D | 2006年6月10日 (土) 06時56分

Dさん、こんにちは!TB&コメントありがとうございます!
実はわたしも煙草は嫌いなんです~。でもこの映画に関しては許す!というよりこれは煙草がないと成立しませんからね。珠玉であり、いぶし銀でもある映画だと思います。渋すぎる~。

音楽、もちろん大好きです!そしてこれは今回観直してみて初めて知ったのですが、この映画の音楽を担当されているのは、わたしの大好きな「サイダーハウスルール」でイントロを聞くだけでもう泣けてしまう曲を作られたレイチェルポートマンでした。Dさんも「サイダーハウス」ご覧になられてるといいのですが。

「天国の青い蝶」は観たいなあと思いつつ観逃してしまった作品なので、今度観てみますね~。しかし「ヒストリーオブバイオレンス」のウィリアムハートは・・・怖かった。恐るべき俳優さんです。

ではこの辺で。またいらしてくださいね!

投稿: かいろ | 2006年6月10日 (土) 18時54分

かいろさん、こんばんは。
実は「蜘蛛女のキス」は原作を読んだきり。単行本が出てすぐに読んだのですが、当時は映画化されるとは夢にも思わず。映画は見逃してしまいました。
「ヒストリー…」で笑っちゃうほど怖かったW.ハートがどんな演技をしているのか、やっぱり興味ありますー。
「偶然の旅行者」、おすすめです。ぜひご覧くださいね。

投稿: びあんこ | 2006年6月10日 (土) 19時52分

びあんこさん、再びのコメントありがとうございます!
「ヒストリーオブバイオレンス」、いろいろな意味で衝撃的な映画でした・・・。ウィリアムハート、助演男優賞ノミネートでしたね。やっぱりすごい俳優さんなんですね。モリーナの影はどこにもありませんでした、当たり前ですが。「蜘蛛女のキス」、できればびあんこさんにもご覧になっていただきたいです。バレンティンもかなり素敵なので。
「偶然の旅行者」、近いうちに観ようと思います。あ~、時間が足りない~。最近一日が26時間ぐらいだったらいいのになーと本気で思っているわたしでございます・・・。
それではこの辺で。

投稿: かいろ | 2006年6月10日 (土) 22時19分

TBさせていただきました。
よろしくお願いします。
『スモーク』、いくつかのお話が交錯して優しい映画でしたね。
そう言えば、この監督もアジアの人ですね。

オーギーみたいなマスターがいたらいいのにと思いました。笑

投稿: あいり | 2006年6月11日 (日) 06時41分

あいりさん、こんにちは!TBとコメントありがとうございます!
オーギーみたいなマスター、本当にいたらいいですね~。
続編?の「ブルーインザフェイス」はちょっと雰囲気が違っていいたけどでもなんだかハッピーな映画でした、わたしの記憶の中では。そしてやっぱりオーギーは素敵だった気がします。うーん、「ブルーインザフェイス」もまた観たくなってきました。それではこの辺で。

投稿: かいろ | 2006年6月11日 (日) 20時31分

こんばんは、はじめまして。いつもお世話になります。

この映画で、「煙の重さ」や「氷中人間」などの小話はよかったですよね。

それでは、今後ともよろしくお願いします。

投稿: David Gilmour | 2006年8月14日 (月) 21時37分

David Gilmourさん、こんにちは、はじめまして!TB&コメントありがとうございます!
お話させていただくのは初めてですね~、これからもよろしくお願いいたします。

雪山で自分よりもずっと若い父親を見つけるあのエピソード、すごく好きです!その話を聞いているラシードの表情がまたいいんですよね。素敵なエピソードと素敵な表情がたくさんの、大好きな映画なのでした。
それではこの辺で。ありがとうございました!

投稿: かいろ | 2006年8月14日 (月) 22時55分

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