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2006年5月22日 (月)

ナイロビの蜂

土・日と映画館は「ダヴィンチ」フィーバーでございました。その余波で忙しかった前日の金曜日に、疲れた体で無理矢理「ナイロビの蜂」を観ました。

Theconstantgardener_0507_2_2 仕事上同じ映画の予告を何度も何度も見なければならないのですが、この「ナイロビ」も相当な回数予告を見ました。

以下ネタばれです。

この映画の予告とキャッチコピー‘地の果てで、やっと君に帰る’を見て、やっぱり最後はこうなるんだろうね、と同僚と話していたとおりのラストでした。疲れに追い討ちをかけられとぼとぼと家路に着いたわたしの目は、真っ赤になっていたと思います。あのラストは主人公のジャスティンにとってこのうえもなく幸せなものだったのだと頭では分かっていたけれど、悲しくて辛くて仕方がなかった。

町山智裕さんのレヴュー:http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20060504
真紅さんのレヴュー:http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-27.html
本牧LEONさんのレヴュー:http://blog.livedoor.jp/upalley2005/archives/50656788.html

映画の冒頭多分5分も経たないうちにテッサ(レイチェルワイズ)は死んでしまう。夫のジャスティン(レイフファインズ)はそれを受け入れられず、しかも妻には自分に告げていなかった秘密があったことを知る。その秘密を探る陰謀の物語なので、もう最初からただならぬ緊迫感と不穏な空気が漂います(そのせいでどっと疲れる)。そのいやーな雰囲気はずっと継続していくのですが、でもその中からテッサからジャスティンへの、そしてジャスティンからテッサへの愛がぼわーっと浮かび上がってくるような、そんな映画でした。あんまりうまく説明できてないけど(うまく説明できたためしがない。がーん)。

真紅さんが書かれているように、テッサの愛情はなんだか最初はよくわからない気がしました。ふたりは知り合ったその日にベッドインしてしまいます。いきおい?それにナイロビに行ったのは夫婦になってからだと思い込んでいたので、テッサからジャスティンにプロポーズ(!)するシーンを観たときは、‘この人ナイロビに行きたいがために結婚するのか???’とまで思ってしまった。でも違ってたのです。ジャスティンの“CONSTANT GARDENER”なところを愛し(そこに苛立ったこともたくさんあったでしょうが)、ジャスティンがずっと“CONSTANT GARDENER”でいられるように、テッサは彼に何も話さなかったのだ、と今は思います。しかしジャスティンはその自分を変えることになる。テッサを愛してたから。テッサの愛に気付いたから(ひー、愛・愛って何度も書いて恥ずかしいー、ぎゃー)。
テッサが生きていた頃、40キロの道のりを歩いて帰っていく親子を車に乗せて欲しい、とジャスティンに頼んだことがありましたが、そのとき彼は、一人一人にそんなことをしていたらきりがない、そういう人はたくさんいるんだから、というような言い訳をしてテッサの頼みを断りました。そしてラスト近く、一人の子供すらも救えなかったことによって、ジャスティンはあのときの妻の絶望感、無力感を心から理解することになります。遅いよ、ジャスティン。
でも最後には、ジャスティンもやっとテッサの愛に追いつきました。ジャスティンの選択がテッサの望んだものでないのは確かだけど、きっと嬉しくもあったでしょう。天国で「あなたがここまでできるなんて思わなかったわ!」なんて言ってるかもしれません。

ここまで書いてきてなんだかBBMを思い出しました・・・。ジャックの本当の気持ちに気付けなかったイニス。失くしてから初めて分かった深い深い愛。ジャスティンとちょっと似ているような気がする、と言うのはあまりにもこじつけ?テッサがジャスティンに“I feel safe with you.”といっている場面でもこれはジャックだ、そしてイニスだ!と思ったのですが・・・。あ、やっぱりこじつけですね。

綺麗な風景(でもそれだけじゃない)、素晴らしい音楽。そしてラスト、レイフファインズが呟く妻の名前。これは絶対映画館で観たほうがいいです。

Theconstantgadener_0508_1 「ナイロビの蜂」
THE CONSTANT GARDENER
(2005 イギリス)

‘地の果てで、やっと君に帰る’

おめでとう、ジャスティン。テッサ、彼をよろしく。

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映画・な行」カテゴリの記事

コメント

かいろさん、こんにちは。ご紹介ありがとうございます。
最近フェルナンド監督のインタビューを読みました。
レイフ・ファインズのキャスティングは監督より先に決まっており、全ての権限は原作者ジョン・ル・カレにあったそうです。
また、映画の中で観客がなかなかテッサを好きになれないだろう、とも語っておられました。お見通しなんですね、当たり前だけど。
原題の意味、うまく説明できないんだけど観れば納得、ですよね。いろんな意味を含んでいる原題ですが、邦題もいいと私は思います。
いづれにしろ映画館で観てよかった作品、に同感です。
では、また映画のお話して下さいね。ありがとうございました。

投稿: 真紅 | 2006年5月22日 (月) 21時51分

真紅さん、こんにちは。コメントありがとうございます!
最近涙もろくて、この映画を観た後は本当に滝のような鼻水(!)を流したので、映画館で働いているスタッフ(早い話が同僚ですね)に声をかけられないようにそそくさと帰りました。でも「あ、○○さん泣いてる~」とばればれだったことでしょう、はずかしい・・・。そのうえ帰り道でも鼻をすんすんすすってたわたしです。
‘観客はなかなかテッサのことをなかなか好きになれないだろう’ですか・・・。本当にお見通しなんですねえ。でも彼女の笑顔は素敵でした。ジャスティンの目を通して見ているから尚更なのかもしれませんが。彼が車を運転しながら自分をビデオ?にとって、そこにいないはずのテッサに話しかけるシーンがわたしは大好きでした。
それではまたお越しくださいね、今日はこれにて。

投稿: かいろ | 2006年5月22日 (月) 23時02分

こんばんわ、かいろさん
レオンです。普段TBなんかもらわないのに、嬉しい限りです。
映画のお仕事なんていいなー!多分ニューシネマパラダイスみたい
な映画館にお勤めなんだ、なんて勝手にイメージしてます。
僕はたまにしか映画観ないんですけど、いつも不思議に思うことがあります。最近の邦画はなんであんな映画しか造れないんでしょうか?
もちろんいい邦画もあるんですが、例えば黒澤の「椿三十郎」とか
他のジャンルではかなり世界をリード、例えばトヨタレクサスみたいに、してるのに。なにかハートにズシンとこないんです。
かいろさんが観た邦画でいちおしあれば教えてください。
寅さん、釣りバカは別として(笑)
ではでは。

投稿: 本牧レオン | 2006年5月23日 (火) 00時25分

レオンさん、こんにちは!見にいらしてくださったのですね、ありがとうございます。
レイフファインズの目、本当に魅力的でしたね。きっと最後のほうでは彼の目はテッサしか見てなかったのかもしれません。

うちの映画館は・・・ニューシネマパラダイス・・・のような映画館、ということにしておきます☆
あと、お勧めの邦画について。わたしも一応観てはいるんですが、それよりもやはり圧倒的に洋画を見る確率の方が高いので、なんとも言えません。でも釣りバカは好きですよ♪
では気が向いたらまたいらしてください、ありがとうございました。

投稿: かいろ | 2006年5月23日 (火) 07時48分

かいろさん、こんばんは。
TB,コメントありがとうございます。
お返事が遅くなってごめんなさい。それに、うちのブログへいただいたコメントのお返しまで今頃になって、
本当に申し訳ありません。

BBMへの想いが強い中、この作品もごらんになったら、
この世では叶わなかった愛の切なさに、また涙してしまったことでしょう。

>これはジャックだ、そしてイニスだ!
いや、そう思ってもおかしくないですよ、そこにある愛は同じですから。
ふたりをこの世で長く幸せに暮らさせてやりたい。
そう思って観てしまいます。

投稿: 悠雅 | 2006年5月23日 (火) 23時07分

悠雅さん、こんばんは!来ていただいてありがとうございます。悠雅さんのところのTBやコメントの数の多さにおののいておりましたので、とっても嬉しいです!(しかも2回もTBしてしまったようです、すみません~。)
「ナイロビ」も「BBM」と同じく観終わってからも余韻が残る映画で、いまだにレイフの「テッサ・・・」という声が頭から離れません。最近観る映画はあたりが多くて嬉しい限りなのですが、この辺で気分転換におバカ~な映画でも観ないとなあ、と考えております(でもやっぱり心は「BBM」に戻ってきそうなのですが・・・)。

悠雅さんのブログ、まだまだ全部は読めていないので、これからもお邪魔させていただこうと思ってます。始めたばかりでどの程度続けられるか分かりませんが、悠雅さんぐらいたくさんの素敵な記事をかけたらいいなあ・・・。
ではこの辺で。ありがとうございました。

投稿: かいろ | 2006年5月24日 (水) 00時05分

かいろさま、こんばんは♪
TBしていただきましてありがとうございます。
私のほうでもやってみたのですが、すみません。なぜか反映されていなくて・・・。
しばらく時間を置いてもう一度やってみますね。
この作品、社会派サスペンスとしてもそうですけど、やはり愛の物語として素晴らしいと思いました。
『ブロークバック・マウンテン』と共に今年の自分のベストです。(ちょっと気が早すぎでしょうか)
また、お邪魔させてくださいね。

投稿: 武田 | 2006年5月25日 (木) 23時51分

武田さん、こんばんは。はじめまして!
ブログ初心者で、TBを送れたり送れなかったり2回も送ったりのかいろです。来ていただいてありがとうございます!(果たしてわたしのTBやコメントはとどいておりますでしょうか・・・。あんまり何度も確認に行くのもはばかられて・・・届いていますように。)

「ナイロビ」、わたしの中では2006年上半期の3番目です。BBMと、ダークホースの「僕の大事なコレクション」が今のところの2トップ(?)です。サッカーのことは分かりませんが☆ でも「ナイロビ」も本当に素晴らしくて、あの音楽を思い出すと今でもなんともいえない気分になります。
下半期はどうなるでしょうね。でも多分BBMが今年のベストであることは変わらないと思いますが(今年の、というよりも生涯のベストに必ず入る作品だと思っています)。

それではまたいらしてくださいませ。わたしもお邪魔させていただきます。ありがとうございました。

投稿: かいろ | 2006年5月26日 (金) 01時00分

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